第3話 現在と未来の夢
気がつくと、俺は裸で自分の布団の中にいる。となりに裸の女がいてタバコを吸っている。
おい、待て。こんな修羅場は経験してないぞ。となりの女は見覚えがあるが、別に何もしていない。
いや、酔った勢いでキスくらいはしたかな。
……。
ライブハウスのトイレで一発ヤッたかもしれない。
……。
ゴムも付けずに。
ドゴっと灰皿がまた壁をえぐる。灰皿、何個持ってるんだ? そんな疑問を抱きつつ、俺は逃げ場を探す。布団を出ようとしたら、床がぐにゃりと歪んで体勢を崩した。
顔をあげると、梨沙がウエディングドレスのような白い衣装を着て微笑んでいる。隣にいるのは
「どういうことだ!?」俺は叫んだ。でも二人には聞こえていない。俺の姿も目に入っていない。
「おい、待って。待ってくれ!」と必死で二人のほうに歩み寄ろうとすると、頭からバサバサと何かが降って着た。嫌な匂いがする。よく見るとゴミだった。体がズブズブとゴミにはまっていく。分別を一度もしなかったゴミの山。
どさっと頭にまた何か降ってくる。
中学生の時に万引きしたペットボトルのジュース。
母ちゃんの財布から黙って抜き取った一万円札や千円札。
借りたまま返却するのが面倒くさくて、引っ越しの時に捨ててしまった図書館の本。
梨沙に出しといてねと頼まれて、忘れたまま放っておいた書類。
俺はどんどんゴミの山にはまっていく。梨沙と淳は幸せそうに手を組んで向こうに歩いていく。
「おい、待ってくれ! 悪かった。俺が悪かった!」
そう叫んだところで目が覚めた。汗びっしょりだった。
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