Love, & after.

「まってください」


 止まらない。酒彩。


「酒彩っ。とまれっ」


「大きな声を出さないでよっ。期弥が起きたらっ」


「じゃあ止まれっ」


「いや。しなせてよ。もう。限界、なの。もう耐えられない」


「おれが二人とも好きになれば、いいんだろっ」


 酒彩。振り返る。


「正直。正直に言う。おれには分からない。あなたを好きになれるかどうかも。期弥に、しにたいって言われたときも、どうしていいか分からなかった」


 空の紅さを、いちど、目に焼き付ける。


 そう。紅く。


「でも、そんなのどうだっていい。ここにいる三人。全員が全員、好きになればいい。それでいい。独占しようとしなければ。きっと、期弥もそれを、伝えたかったんだと、思う」


 期弥。さっきの声で、目が覚めたらしい。こちらを、やさしく、見つめてくる。


「期弥。ごめんね。うまく言葉がしゃべれないっていうの、おれ、知らなくて。ひどいことを」


「ごめんなさい。私。ぶつかって。血が」


「大丈夫。ちょっと切っただけだから。おれのこと、わかる、かな」


 期弥。真剣な、顔。


「喋れる、かな?」


「喋れる」


「おねがい。俺の、おれと期弥の深層心裡を、酒彩に」


 期弥が、立ち上がる。ちょっとふらふらして、それでも、酒彩に、ぶつかっていく。


 やさしく、抱きついて。


 期弥が、自分から。喋った。


「好き。みんな、みんなみんな、好き。大好き」


「期弥」


空の紅さに、照らされる。


三人。


「わたしも。わたしも、好き。大好き」

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