第6話郷二天狼と郷土防衛義勇軍の猛者


郷土防衛義勇軍は日本軍政下におかれた東インド、現在のインドネシアのジャワで、民族軍として結成された軍事組織で同様の組織は、バリ島、スマトラ島、マレー半島でも結成された、つまりあの鬼のいる島でも。


その二人の男はインドネシアで様々な暗躍をした、当時、オランダ領の植民地であったためオランダ史上最大の闇の話である。


完全なインドネシアの民兵としての独立が阻まれたため小競り合いがあった。


「王の上に君臨する王などいない!」


逆立ちしながらの顎部分への蹴り。


「上官の事を王というとはな」


それは左手の掌に足の裏が吸い込まれる。


「ぐっ………」


「自分の弱さを卑下するな、それは元々あるべき格の違いというヤツだよ?」


ぐるん、キックをした者が半回転する、左手の掌が下から上に半回転していた。


「ほぉら君の方が頭が高い、良かったな」


「………チイッ!離せ!」


「分かった」


言葉通りに離され空中を自由落下する、その中で三回空中で空中回し蹴りを放った。


「………なぁっ!?」


それを全てさばかれた。


「無明千影突」


九百九十九の殺気による分身が放たれた、999の虚実ブラフは見切れない。


「ゴバラゲッ」


腹部に一発、重い一撃、浸透勁という外部破壊よりも内側の臓器を破壊するモノだ。


「ブホッ」


地面に落ちた後、吐血をしながらガクンと膝が崩れる。


「お主………王の力を見せてやる!」


インドネシア圏では東インドと言われる通りインドから伝わったヒンドゥー教の影響がある、そこには破壊神シヴァも含まれる。


カガラパン!!!」


闇のシャーマニズムは邪教と呼ばれる、邪神に憑依されて邪気を放つからである。


邪気を放つだけで大地を抉りとり、天を慟哭させる、闇の力とは破壊衝動の解放であり、誰もが日常に何かしら崩壊を望む限り、闇の力を求める者は多い、そして、それを馬鹿にする心、侮蔑するのも当たり前であろう。


人間からの超越とは結果的に出る杭を打つと同じことだからだ、ここで例外となるのは家柄が高い位置にあり、元々権力を持っていれば闇は許容される、毒を持って毒を征する、そういうことも可能となるからである。


「仕留めたか!?」


クレーターがそこには生まれていた、彼の周りを中心にゴリゴリと削った大地は蛇が中心に向かってとぐろを巻いたようである。


「後ろだよ」


「なっ!」


背後にたっていた男に気づき、後ろを向いた、そこにあったのは悪鬼羅刹の群れが人間を食べている地獄絵図である。


「なぁ!?」


「幻だよ」


そこにいたのは日本陸軍軍人と喧嘩の見物客に来ていた彼の仲間達であった。


「!?」


「人間はいつから鬼を定義して神を欲したのか、あらゆる神話は、例外はない、神道の神々ですらな」


「神とは崇拝?なら俺のこれは!」


「それは君の元々の実力だろう?」


「!?」


「君は邪神になれる、自分もそうだ、一応話しておこうか、自分の能力は自分の邪気を空間に解き放つとその空間を全て幻で塗り潰す『悪夢の霧』というものだ、邪気は水分で形成されていて湿った部分を幻に変える」


「幻術!!」


「その通り、邪気は水分で形成される、つまりこういうことも可能なのだよ………」


辺り一面が寒くなる、寒気がする、霊的なモノなんていない、いるはずなんてない。


摩訶鉢特摩まかはどま


人の形をした邪神と邪神のぶつかり合いは呆気なく終わる、二人の実力は天と地ほどの差があった、闇の系譜、それは長ければ長い方が良い、それを古級血統エルダーブラッドと言う。


それが夕方の刻限には終わり、夜には二人の男が酒盛りに興じていた。


「反乱は征せれたか?」


華僑かきょうが経営する中華料理店で二人は様々な料理を中国酒の酒の肴にした。


「誰に物を言っている」


「殺してくれればこっちで解剖に回せたのになぁ」


「あぁいう兵力を減らすのはよくない」


「それもそうだな」


「貴様ラをぶち殺しマース!」


突然店内で叫んだのは処刑人の剣エクスキューショナルソードを持った神父だった。


「感じマース!あなた達は悪魔デェス!」


お冷やに入った氷が空中に伸びていく。


人体実験が趣味とおもしき男は地面から根を生やし、それは木となり枝が伸びていく。


その両方の先端が彼の首を貫いた。


「かひゅ!」


「お客さん!死体処理は別料金ヨ!」


店奥からやってきた中国人の男が叫ぶ。


「だからこの店で食事をしてるじゃないか」


「そうだな」


「カイボーとか言ってたから持ち帰りスルか?」


「樽か何かにいれてあそこの研究所に運んでくれ、それには氷は沢山積めてくれ」


「アイサー」


そうしてその夜は酒と共に過ぎていった。


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