第5話原初の牙、原色の闇
カニバリズムは文字を持たない古代蛮族がしていたものとされる。
比較神話学をしてみよう、アステカ神話のミシュコアトルは黒い仮面をつけてしばしばその上に星がちりばめられている。
ミシュコアトルは戦争と狩猟の神であり、太陽神ケツァルコアトルの父であり、ケツァルコアトルの時代に生け贄儀式が尊ばれなかったのはミシュコアトルの時代の生け贄儀式を時代と共に忌まれたのだろう。
弓ぎりの発明者であり、はじめて火打石を使い、人類に火をもたらしたとされる。
日本ならば縄文人はいつ火を手にしたか?そしてそれで何を焼いたか?どんな生け贄儀式をしたか?
比較神話学は普遍的無意識とも関係がありシンクロニシティの話になる。
天皇に纏わる忌まれた話、人狩り、人喰い、呪術、それらは本当は誰がしていたか?
分かっているのはミシュコアトルのような神が日本にはいたのだ、太古の昔、神と人の境の無い時代、もしくは超越した人間が神に祭り上げられる時代、それともただその神が忘れられる共にその存在も忘れられたか。
分かっているのは幕末の京都に闇が降り立った、酒呑童子、金毛白面の者、ぬらりひょん、藤原千方、蘆屋道満、織田信長。
それらの復活にも思えた。
「私が裁いてアゲマース!」
黒船来航後、一人の外国人のプロテスタント、そしてエクソシストがその場所に来た、、当然無許可で非公式、バチカンにも伝えずに独断で来た、彼の悪魔探知能力は優秀であり、悪魔を祓う事に対しても一流だった、彼にとっては悪魔は封印ではなく浄化するものであり、誰よりも速く、悪魔を倒し、その成果を常に誇る。
彼に祓われた悪魔は沢山いた。
「さぁ、貴方の罪を数えなサーイ!」
だが、それは悪魔より古い魔だった。
数秒で理解した、エクソシストの持っている小型ピストル、狩りか人殺しに使うモノ。
「発射された石礫は速いが遅い」
そのすぐに矛盾した感想をしたのも彼にとっては遅いが人間にとっては速いという意味であり、事実、彼は弾丸をつまんでいた。
「What?」
「………Who ara you?」
「………!?何故、今!?」
「名前を聞かれたら答えろよ、ここの王宮の外でこの
「なっ!バカにしてるのか!?」
現存する最古のローマ型のはさみは紀元前27年頃帝政ローマ時代のもので鉛や針金の切断に使われていたとみられるものである、ローマ型のはさみは中国や朝鮮半島を経て日本に伝わり、彼が文字通り魔改造した。
「貴様をこの世から裁断しよう、運命の糸を切断してな」
「裁断?いいや!裁かれるのは貴様!」
「多分、裁判は意味合いが違うぞ?」
「?」
「まぁよい、お前が消えてしまえばお前がしてきた事の全てが消えるからな、それはやめよう、その代わり、ポ、ピ、ピ、パンチだ、分かるか?ここはkillyou!と言うべきか」
「ぐぎぎ!悪魔風情が!黙って死ね!!」
歯を食いしばり、歯軋りがされた、その瞬間的に高まった怒りが短絡的発想に繋がる。
小型ピストルから発射された弾丸、それをクロスカウンターするように放たれた拳は弾丸が、発射した直前で彼の横をかすめた。
「ボゴラバッ!!」
顔面にクリーンヒットする拳、めりこむ、めりこんで、めりこんで、後頭部を貫く。
「術式特化になり膜は体全体に張らないのか?一撃必殺の類い、人の死にやすさを武器が追い越していったか、さて、これなら刃の類いはどうなるかな」
死体が一つそこにある、そこがどこかは分からない、分かったとしても行ってはならない、その存在を古き邪神、真の意味での禍神と言い、八百万の神々にすら加えられなかった太古の魔神の成れの果てであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます