第2話 私とスープ

夫のパンツを嗅いでから次の日の朝。

いつもより寝起きの悪い夫は1本遅い電車で仕事に向かいました。アラームの時刻で起こしてあげても良かったのですが、前日の「パンツ、石鹸の香り事件」 が勃発した最中ダブルベッドの距離で私のモヤモヤは晴れませんでした。


...でも1本遅い電車に間に合うように起こしてしまったのは、まだ確信がないからでしょう。

長期戦の予感しかしません。


夫が仕事に行ってから足早に、いつもならそこまで入念には確認しないジャケットのポケットやレシートのゴミ、カバンを確認しました。

出てくるのは電子タバコの吸殻かクシャクシャになったハンカチ程度。変な罪悪感を感じたまま私は家事を済ませていきました。


日が沈み始めて夕飯の支度を始めた頃、1件のメッセージが夫から送られてきました。


「ごめん!システムがトラブった。遅くなるかも」


定時であれば18:30には退社し、帰路についているのですが、どうやら本日も残業らしい。

不安や憤りを感じる中、確信ではないけれどこちらが探りを入れていることに気づいてないという事にややバカらしさすら感じました。


しばらくして夫が帰った頃には、夕飯に準備した野菜スープはクタクタになっており私のテンションを表しているようでした。

それを帰宅して直ぐに美味しそうに食べる夫に、まるで搾取されているような変な気持ちに一瞬なりましたが、平静を保てた自分を褒めてあげたいです。



さて、残業を終え食事を済まし、お風呂へと夫は向かいました。ここからが私のガサ入れタイムです。今日はどんなフローラルな香りを私に嗅がせてくれるのか...

しかし、いざ嗅ぐとなると夫婦とはいえ抵抗はあります。昨日は不意に香ってきた香りで気づいたものの、今日は全くの別物です。自らパンツを手に取り、自ら嗅ぐわけですから...

夫のシャワーが温かくなるスピードと共に私の胸は熱くなりました。

意を決して夫のパンツを手に取り、少し遠慮がちに嗅ぎました。



...結果は惨敗です。


汗くさく、見た目は綺麗な状態。

ガッカリです。


しかし、「まぁ今回はここまでにしておいてやるか...」と妙な上から目線で平静を保ち2日目は終えました。


8/25 火曜 晴れ

出勤→残業〇 パンツ→赤 におい→汗

本来の姿。


まさか2日連続ではなくて内心ほっとしつつも、お風呂上がりの夫にデザートのスイカと酎ハイを1缶差し出しました。

寝る間際、主人から夜のお誘いを受けたものの、この最中で受け入れられるはずも無く余計不安だけが大きくなりました。

目を閉じると、何処の誰だろうか?可愛いのだろうか?等、自分に自信がない私は余計なことを考えて考えてなかなか寝付けないまま、無理やり目を閉じて眠りました。


やはり私の夫は浮気してるのだろうか。

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