恋とパンツと嫁日記
はる
第1話 茶色い革張りの手帳
「下着」...とは色々な情報をもっています。
色や柄 系統等でその人の趣味嗜好が読み取れ、
枚数 使用感 匂いで性格や生活レベルまで分かります。
「下着」...には「隠す」という意味がある様に感じます。同時に本性までもを覆い隠していて、ありのままの自分をさらけ出すことを躊躇させます。
「下着」...とは、時に見て欲しい自分を表現させ、
見られたくないものを隠し。
見て欲しくない自分を映し出す鏡のような存在だと思います。
私は洗濯器から取り出し、タオルと絡み合った主人のパンツを解く時にふと思いました。
主人に他の女ができたのではないかと。
私の主人は少々変わっており、下着は2種類しかありません。1つは仕事用の赤色のナイロンパンツ。
もう1つは休日用のブランド物の黒色のナイロンパンツ。どちらも無地の同じ種類が7枚づつ、1週間の計算だそうです。
初めて見た時は拘りが強く面倒だと感じましたが、夫婦生活3年目にして主人の唯一の主張だと思えば可愛いものです。
基本ナイロン好きの男は綺麗好きで几帳面が多いです。綿に比べると汚れが目立ちにくく常に綺麗な状態がキープ出来ます。
しかし、いくら見た目が良くとも匂いは変わります。仕事をすれば洗濯直後の柔軟剤の香りを跳ね除け汗のにおいが多少はします。
私はいつもの容量で主人のパンツを洗濯ネットに入れた際、ふわっと石鹸の香りがしました。
初めは何も感じませんでしたが、その記憶は時間と共に胸に膨れ上がり脳を動かせました。
8/24 月曜 晴れ
出勤→残業〇 パンツ→黒 におい→石鹸+汗
いつもとは違った。
夫のパンツから石鹸の香りがしたその日から、私は仕事を辞めた日から付けていなかったシステム手帳を3年振りに差し替えました。
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