第6話叛乱

「王太子と、公爵と、偽聖女を吊るしなさい。

 私に遠慮は無用です、民を苦しめ死に追い込んだ者を許してはいけません」


「「「「「は!」」」」」


 例え史書に血塗られた聖女と書かれようと、苦しみ死んでいく民を見殺しにはできませんでした、だから、聖女として四辺境伯に王家討伐命令を送ったのです。

 私がヴァレンティア辺境伯領に保護されてからのマライーニ王国は、とても酷い状況で、王国軍が兵糧徴発と称して罪なき民を襲ったのです。

 とても許せる事ではなかったので、ヴァレンティア辺境伯にお願いして民を保護し、王国軍の将軍以下幹部を犯罪者を捕えて、処刑してもらいました。


 覚悟を決めた私は、四辺境伯に国境を護ってもらい、それぞれが派遣してくれた副将と兵の助けを受けて、王都に攻め込みました。

 普通なら王国軍や諸侯軍が抵抗するのでしょうが、もう王家は完全に見捨てられていて、無人の野を行くように進軍する事ができました。

 王都の城門も、守備兵や民によって全て開門され、何の抵抗もなく入城する事ができたので、味方の死傷は殆どありませんでした。


 ですが、私達に寝返った将兵全てを許すわけにはいきません。

 ヴァレンティア辺境伯領に遠征して来た時に、民を死傷させ者は絶対に許すわけにはいきません、特に婦女子に暴行した者は、厳罰に処しました。

 それは王都で同じように民を苦しめていた王侯貴族も同じです。

 だからこそ、その筆頭として、国王を弑逆した王太子と父と姉を、見せしめとして最初に殺したのです。


 問題はそれ以外の者達で、普通に楽に殺さないよう、四人の副将に献策されていますので、本意ではありませんが、残虐非道な処刑をしなければいけません。

 被害を受けた王都の民に、処刑すべき罪人と処刑法を選ばせるのです。

 決まった処刑法はとても残虐な、異端者のフォーク、ユダのゆりかご、ネズミ拷問、皮剥ぎなどが、罪人の犯した罪によって選ばれました。


 私自身が考え実行しないとはいえ、許可を与えるのは私ですから、その責任から逃れられはしません。

 それにこれは王都だけで終わることではないのです。

 地方の諸侯にも、民を苦しめていた者は多いのです。

 彼らを討伐する前に、王都の王侯貴族に厳し処罰をする事で、地方の諸侯に自ら逃亡させる予定なのです。


 逆に籠城して激しく抵抗する可能性もありますが、私には彼らと妥協する気が全くないのです。

 世の中には清濁併せ呑む器量の方もおられるでしょうが、私は悪人を許せるほど心の広い人間ではなく、信賞必罰でしか民を導けないのです。

 これからが正念場です、血塗れ聖女として、犯罪者を厳しく処罰します。

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婚約者も聖女の地位も、姉に全て奪われてしまいました。 克全 @dokatu

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