第6話 この子はあたしが止めるから
◆
「ねえ、お兄ちゃんってさ」
ごはんを一緒に囲んでいると、ラーニャが意を決したかのようにそう言った。どうしたと水を向けると、彼女はこう問う。
「どういう風に調査してるの?」
「え、なんで?」
「連続失踪ってあるでしょ。あれを調べようって、誘われて」
そういうことか、と俺は笑った。ラーニャの気には召さなかったらしく、彼女は大げさにむくれてみせる。
「笑わないでよ、もう」
「悪い悪い」
「いいもん、もうお兄ちゃんには聞かないから」
「いやだって、あれを子どもが調べたからって、何かわかる訳じゃないだろ。俺なんかより何倍も凄い人たちが集まって、それなのにまだ未解決なんだぞ」
「そりゃそうだけどさ」
わかってるよ、そんなことぐらい。そんな感情が透けて見える程露骨に、彼女は目を逸らす。俺は微笑ましく思いながら、続けた。
「なんかやるにしても、最初からあんな大事件は無理だ。やめといた方がいい」
「はいはい」
「ところで、誰? そんな提案したのは」
そう問うた俺に、ラーニャが答えたのはよく話に上るやんちゃ小僧の名前だった。案の定というかなんというか。
「魔法が得意だってことで、あたしとゾーイに声を掛けてきたの」
「なるほどね。ところで、あれは実際、魔法絡みだと思う?」
「わかんない。ゾーイはやめなよって言ってたけど、あたしはまあ、気になるからさ。逆に考えてよ。中途半端に解決できそうな事件に首を突っ込んだ方が、余計危ないよ」
言われてみれば、そんな気もしてくる。どうせ何もわからないなら、問題はない。ただ、徒労に終わるだけ。
「わかった。まあ、やるなとは言わないよ。無駄に終わっても泣きつくなよ? 後は一応、調べた結果は俺に見せてくれ。危険があったら調査結果からうすうすわかってくるぐらいには経験ある。危険だと思ったら、俺は止める。そうしたら絶対に調査はやめること。わかったな?」
彼女は目を輝かせて、頷いた。
「約束するよ。こうやっていろいろ調べてみるのは、絶対いい経験になるもんね」
「そりゃな。それで、調べ方だけど、俺はそんな長い調査が必要になる事件には首を突っ込まない。手頃な事件を毎日毎日解決して、生活費を稼いでるだけだからな。だからアドバイスはできない」
「うん」
「頑張れよ、ラーニャ」
「もちろん」
彼女は威勢よく答えた。
それからの数日、ラーニャはゾーイを含めた何人かの友達とともに、失踪事件について調査を進めていた。ラーニャがまとめたという調査結果を見てみると、失踪事件が起きた場所をあたり、その近辺の地図をまとめているらしい。
「どんな場所かわかったら、もう少し被害者について詳しく調べなきゃね」
調べ方は、間違っているようには思えない。そして、今の段階ではまだ、危険が迫っているとは思えなかった。だから俺は、止めなかった。
拠点として、俺たちの家が用いられているらしく、たまたまいつも以上に手早く仕事を終えた俺が家に帰ると、クラスメイトたちが地図を囲んで何やら議論していた。
「ただいま」
「あ、お帰りお兄ちゃん」
ラーニャがごめんとみんなに謝罪する。
「お兄ちゃん帰って来ちゃったし、今日はもう終わりにしよ」
その声を聞くと、みんなぐちぐち文句を言いながらも、すぐに片付けを始めた。案外素直なものだ。その様子を眺めていると、やはり気になるのが、一人だけ明らかにテンションの違うゾーイだ。暗いというか、どことなく存在感が薄い。ラーニャのまとめる調査レポートの中の像とはどうしても結びつかない程に、彼女は極端に、その存在を主張しない。一切文句も言わずに、淡々と片付け始め、気付いたらもう帰る用意を済ませてしまっているという風だ。小さくあくびをしながら、他のみんなの片付けを待っている。
俺は暇そうな彼女に声を掛けてみた。
「どうも」
彼女は、曖昧に頷く。そこにはやはり、透明な壁があった。礼儀は正しいけれど、それ以上の会話を拒んでいることもまた、伝わってくる。
「ラーニャとは上手くやって行けてる?」
「はい」
「ならよかった。あいつ、結構ぐいぐい来るだろ?」
「いえ、来てくれてあたしも嬉しいです」
「それならいいんだけど」
どうしても、そういうタイプには見えない。誘って、オーケーをもらった時にはびっくりしたとラーニャも言っていた。それとも、感情を表に出さないだけで、内側は普通の子なのだろうか。
「まあ、あいつは、これは兄バカだけど、いい奴だから、よろしく」
「はい」
「魔法も、一緒に勉強してくれたら俺としても嬉しい」
「はい。ラーニャはたぶん、素質があるから。あたしも話してて楽しいです」
平坦な言い草だけど、そこに嘘はない。そう思いたい。
「そっか。ところで、どうしてそんなに魔法に詳しいの? ラーニャは相当凄いはずなんだけど」
「……それは、言いたくないです。ごめんなさい」
「そうか。なら、無理には聞かないよ。いつか、ラーニャに話せると思ったら、話してあげてくれると嬉しい」
「わかりました。……いつか、話そうと思います。ラーニャには」
「何の話してんのお兄ちゃん」
ラーニャがひょっこりと顔を覗かせ、そう尋ねた。俺はなんでもないとかわす。ラーニャはそれ以上の追及はしないまま、友達を見送りに外へと向かっていった。
◆
「お兄ちゃんって、ゾーイのこと好きになっちゃった?」
「は?」
晩飯を作っていると、魔法の本を眺めながらラーニャが問うてきた。思わず言い返すと、今度はそれが、肯定を表しているような気がして、ミスったなと思う。
この感情は恋ではない。恋と無縁な人生だった訳ではないが、ゾーイに抱くそれとは全くの別物だ。そこにあるのはただの興味。あの個性の持ち主が、ラーニャを受け入れ、こんな風に親しくしているというのがなかなかに興味を惹かれる。
「だって、なんか興味津々って感じじゃなかった?」
「そりゃ興味はあるよ。あんな風に自分の周りにバリアを張ってるようなタイプの子が、よくラーニャと仲良くなれたなって」
「それは確かにそう思うよ。魔法が得意ってきっかけがなかったら、話すこともできなかったと思う。でも、魔法について話せる友達ってのが、ありゃたぶんいなかったんだと思う。自分の知識を語りたいのに、誰にも理解してもらえない。それどころか、熱く語ってどん引きされたこともあるんだと思う。だからバリアを張ってるんだよたぶん。あたしだってあの子には到底敵わない。それでも、話についていくぐらいはできる。それが、ゾーイにとっては嬉しかったんじゃないかなって思うの」
「ああ、それなら」
納得はできる。ラーニャを契機に、少しずつ氷の鎧を融かしていくことができるなら、それはいいことだ。
「ゾーイの魔法に関しては、結構闇が深そうなんだよね。あたしだって、客観的に見たらどう考えても闇が深い事情がある訳じゃん。お兄ちゃんがいるから、悲しいとは思わないし被害もないけど、それでもやっぱり、世間的にはさ」
「親がいないってのは、かなりの大問題だよな」
「うん。あたしはもう、ほとんど覚えてないからさ。お母さんも、お父さんも。だから寂しいとすら思えないのよね。魔法の勉強を頑張るのは、好きで続けてることだし。あ、お兄ちゃんには本当に感謝してるよ」
「そ、そうか」
たじたじになって口ごもる。こういう風に直截的に感謝をぶつけられると、どことなく居心地の悪さを感じてしまうのだ。慌てて俺は話題を戻す。
「で、ゾーイの闇が深いって?」
「詳細はわかんないよあたしも。教えてもらえなかったし。だけど、あたし以上に魔法が凄いって、才能もそうだけど、努力だって凄いしてると思うの。そういう風になったきっかけってなんなのかなって思ったら、本人がどう思ってるかはまた別問題だけど、かなり闇の深い事情があるんじゃないかなって」
「……そうか」
なら、あんな風にストレートに尋ねるのは悪手だったかもしれない。
「あたしも、まだ火事のことは話してない。でも、親がいないことはバレてるし、気付いててもおかしくはないかな。今度、直接話してみよっかな」
「任せるよ」
「うん。で、興味津々ってことは、ゾーイのこと、好きなんだ」
にやにや笑いを復活させてラーニャがまたそう問う。
「いやそういうことじゃねえから! ほら早く飯食えよ、冷めるぞ」
「話題逸らしたってことは」
「違うっ」
叫び声が響いた。ラーニャが声をあげて笑う。俺は苦笑いをしながら、晩飯をさらえ始めた。
◆
それから数日。俺は当たり前の日常を過ごしていたが、時期も時期で、子どもたちは元気よく遊び回っていた。それはラーニャたちも例外ではなかったらしく、毎日のように彼女たちは事件について調査を進めていた。
俺も俺で、いつも以上に積極的に事件に取り組んだ。学生がそこらを歩いていても、何もおかしくない季節。俺にとっては凄く気楽だ。
四人チームで泥棒のアジトを討伐した帰り、ひとりがふと「この辺確か旨い飯屋があったっけ」と言いだし、俺たちはその店へと向かった。
しかし、その店は開いていなかった。運がない。もうすぐ昼にありつけると思っていたのが急に取り上げられて、俺の腹は見事な音を立てて鳴った。赤面しながら、「仕方ない、別の場所をあたるか」の声を聞く。
昨日の事件解決分のレポート提出と引き替えに報酬を受け取り、家に戻ると、昼飯代を出してもらった分引き受けたレポートとの格闘を始める。チームで組むと、一食分浮くが、手間は増えるんだよなあとため息を吐いていると、ラーニャが傍に寄ってきて、俺の書くレポートを覗き込んできた。
「今日は多いね」
「俺を含めて四人分。昼飯おごってもらったからな」
「大変だね」
「まあな」
よほど浮かない顔をしていたのだろうか、ラーニャは「よし、それじゃあたしが今日は作るよ」と声を掛けてきた。
「お前、料理できんの?」
「練習中。だけど、レシピ通りに作ればできるんでしょ?」
「まあ、そうだけど」
「火の取り扱いなら、お兄ちゃんよりも上手い自信あるもん。困ったら魔法で消せるしさ」
「そのぐらいは俺でもできるけど、まあいいや、じゃあ、任せるぞ。困ったら呼んでくれ」
ラーニャは元気よく返事すると、台所へと向かった。そこからしばらく、俺はレポートを埋める作業と格闘し続けていた。
「お兄ちゃん、できたよ」
その声が聞こえる頃には、三人分が埋まっていた。後は自分の分を残すのみ。首を回すと音が鳴る。ひとつのびをして、俺は今行くと返事した。
「どうだ!」
見せびらかすような強い口調とは裏腹に、そこにあるのは焦げかけた野菜炒め。ギリギリ食えなくはないというレベルの見た目だった。
「ちょっと炒め過ぎちゃったかなとは思うけど、まあ食べてよ」
「いただきます」
おそるおそる舌に乗せると、案の定焦げた食べ物独特の苦みが広がった。思わず顔をしかめてしまう。
「やっぱり、駄目だった?」
「焼き加減は、これから上手くなればいい」
「じゃ、今は駄目なんだ、残念」
少々の落胆をその表情に忍ばせながら、しかし彼女はめげない。
「今度こそ、おいしいって言ってもらえる野菜炒めを作るからね」
「まあ、まずはそこからだな」
ラーニャもそれを一口食べ、それからうっと声を漏らし、水をごくりと飲んだ。
「そういや、例の事件の調査はどうなってる?」
「全然駄目。ホント、笑っちゃうぐらい何もない。まあ、わかってはいたんだけどさ」
唇をとがらせながらそう言うラーニャは、けれど目で笑っていた。
「でも、なんだか仲良くなれてるような気がするんだ。ゾーイ、あたしのこと、めっちゃ気にかけてくれるというか」
「他のみんなは?」
「元から仲いいし」
即答だ。悪いと謝ってから話を続ける。
「それもそうだけど、ゾーイと他のみんなは?」
しばし考えを巡らせた後、ラーニャは結局「わかんない」と言い放つ。
「悪い訳じゃないけど、仲良くできてるかなんて結局二人の間のことだし、あたしじゃわかんないよ」
「まあ、それもそうか」
「でもやっぱり、あたしが一番なんじゃないかなとは思うな。魔法があるからかな」
「よかったじゃないか」
「うん。でも、それもなんだか微妙なんだよね。一番なんて決めなくていいのに」
ラーニャの顔を見ると、そこにおどけの色はなかった。これは紛れもない本心ということだろう。
「まあ、それもこれからのことだよね。まずはあたしとみんなが仲良くしてれば、きっとゾーイも仲良くできるよ」
「だな。頑張れよ」
「もっちろん」
胸を張って、大きな笑みを浮かべる。なんとも頼もしい限りだ。
◆
実際、どうして俺がここまでゾーイのことを気にかけているのかはわからない。それでも彼女のことが、どことなく気になってしまう。
小学生だった経験はある訳で、しかし彼女のようなタイプは見たことがなかったから。そんな気がする。
内気や引っ込み思案という形容は似合わない。しかし積極的だとも言えない。敢えて言うなら、ひとりだけ精神年齢が異様に高い。そんな雰囲気が、どうしても気になる。そういうことなのだろう。
布団も掛けずに寝転びながら、そんなことを考えていた。これでは確かに、好きなのだとからかわれても文句は言えない。けれど、この感情は断じて違う。どちらかというと、心配が先に立つ。学校に通えている内から、あんな風に老成する必要はないだろう。そう思ってしまうのは、俺の境遇のせいかもしれない。
暗闇に適応した目で隣を見ると、ラーニャはもうすやすやと寝息を立てていた。けれど俺は、なぜか寝付けない。早く寝ないと明日に響く。それをわかっての上で無理に眠ろうとするけれど、目を固く閉ざせば閉ざす程、意識は冴え渡って行く。
諦めて体を起こし、それからふとカーテンを開いて窓の外を見やり、それから俺はすぐ、カーテンを閉ざした。そして、おそるおそる外を窺う。そこにいたのは、二人の少女。しかし彼女らの間には、一切の親しさ等の感情が見受けられない。向かい合ってただ立ち竦むその光景から、親しさなんて見いだせなかった。
計ったように月が辺りを照らし、二人の顔を俺は認めた。うちひとつ、大柄な方は知らない少女だったけれど、もう片方は、小柄な方は、知っている顔だった。
俺はラーニャを起こす。何よと眠たげに目をこするラーニャに、俺は小さく伝えた。
「ゾーイが、そこにいるんだ」
「えっ、ゾーイが?」
ラーニャも窓からそっと覗く。二人は、まだ静かに、睨み合っていた。
「知ってる? あのデカい方」
「知らない。見たことないかって言われたらあるかもしれないんだけど……」
「じゃあ、学校ですれ違った程度?」
「知ってるとしても」
二人は、いつまで経っても動かない。何か話しているのだろうか。残念ながら声は聞き取れないけれど。
ふと、大柄な少女がこちらを見た。その目の中に、俺は確かに、憎しみの炎を見た。ラーニャの口から小さく悲鳴が漏れる。ゾーイもこちらを見上げ、それから叫んだ。
「隠れてラーニャ!」
その声に咄嗟に反応したのは、俺だった。ラーニャに覆いかぶさり、布団に押し倒す。窓を突き抜け、魔法が飛んで来た。背中に熱を残して、それは消えた。
俺は剣をひっつかむと、窓から身を乗り出す。
「何すんだっ!」
「ラーニャを護ってニールさん! この子はあたしが止めるからっ!」
ゾーイがそう叫ぶ。俺は頷くと、ラーニャを部屋から連れ出した。
「何、どうなってるの?」
「わかんない。けど、あの大柄な奴の魔法力は本物だ。ラーニャ、とりあえず逃げよう」
「でも、ゾーイが」
俺はそれで、正気に戻された。確かに、俺よりも年若い子どもに、あれだけの力に対抗させるのは、無謀だろう。けれど、それでも彼女はこう言った。この子はあたしが止める、と。そして。
ラーニャを護って、と。
狙いは、ラーニャなのだ。なぜだかはわからないけれど、彼女は間違いなく、ラーニャを狙っている。そして今は確かに、隠れるのが最善だ。けれど、もしゾーイが負けたら? その時俺の剣と、ラーニャの魔法だけで、自らを護れるか? 未だにヒリヒリする背中が答えだ。無理だ。
「戦いに使えそうな魔法に心当たりはあるか?」
「いっぱいある」
「ゾーイを助けに行こう。ゾーイがやられたら、俺たちだけで敵う相手じゃない、あれは。今助太刀するのが正解だ」
ラーニャはしばし目を閉ざし、それから決然とした口調で、「わかった」と頷いた。
◆
ラーニャを庇うように外を窺う。ゾーイともう一人の少女が、無言の内に立っていた。一切の動きがないように見えたが、ラーニャは俺に小声で、「凄いハイレベルな応酬だよ。うかうか出て行けない」と伝える。俺には感じないが、きっと今、何か目に見えないものが飛び交っているのだろう。
「相手の気を、一瞬でいい、こっちに引きつけたい。そうしたら、ゾーイが攻撃する隙ができる。少なくとも、追い払えると思う」
「わかった。それなら、俺がゾーイに気取られずに、外に出ればいいな」
幸いにも、ゾーイはこちらを背に向けて立っている。実行は容易に思えた。
「気を付けて」
ラーニャの声を背中に浴びながら、俺は外へとその身を乗り出した。大柄な少女は、確かにこちらに意識を向けた。その瞬間、彼女の体は一瞬吹き飛んだ。
と同時に、ゾーイもへたり込む。俺は彼女に向けてかけだした。
「大丈夫かゾーイ!」
「あたしより、ラーニャを……」
「あたしならここよ。待っててゾーイ」
ラーニャがゾーイに手をかざし、強く目を閉ざす。そして、しばし意識を集中させると、ゾーイは瞬く間に元気になっていった。
「ヒーリングぐらい、あたしもできるもん」
「ありがとう……危ないっ!」
ゾーイが叫ぶ。俺はそれに、気付いていた。ラーニャを地面に押し倒し、危うく回避する。大柄な少女の魔法が、俺の後ろ髪を軽く焼いた。
「お兄ちゃん耳塞いで!」
ラーニャが叫ぶ。え、と思う間もなく、ラーニャの体からけたたましい轟音が鳴り響いた。慌てて身を引く。大柄な少女が何やら呟いていたが、その音に紛れて聞き取れなかった。そのまま彼女は、姿を消す。
それを見届け、ラーニャから鳴る音は止まった。
ラーニャが何やら呟くが、麻痺した俺の耳には届かない。
「聞こえない」
そう伝えると、ラーニャは俺にヒーリング魔法をかけ、それから「ごめん」と舌を出す。
「不審者追っ払うには、音が一番だよ」
「まあ、それはそうだな」
「ごめんだけど……とりあえず、ついて来て。人を集めたくはないからさ」
ゾーイが俺たちの会話に割り込んできた。
「全部説明するから。まずは、手を繋いで」
言われるがままに、俺とラーニャはゾーイと手を繋ぎ、輪になる。
「行くよ、意識を魔力に集中させて」
魔法を出すのか。俺はなけなしの魔力に意識を向け、それを振動させた。体温が上昇していく。
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