第7話 黒い世界。白い偶像。

 考えて分からなければ考えることをやめればいい。

 合わせたくなければ合わせることを放棄すればいい。

 結果的に一番簡単な生き方は自分勝手に生きることなのだ。

 言語道断、劣等感や優越感はただの塵芥。必要なのはプライドではなく、自我と信念だと今更ながら悟った。

 今もなお吹き続けて北風。

 大地を踏みしめて立つ両足。

 おちていく氷柱。

 ひんやりとしたこの社会にはもううんざりだ。

 さっきまで忘れかけていた嫉妬と憎悪の焔が再燃する。

 でもまだ今は芽吹く春への礎とする。縮こまって夜明けを待つ。

 一陽来復を願って。たとえ惨めと罵られてもじっとしている。

 風林火山、山のようにどしっと構える。疾風迅雷ではすぐ朽ちる。

 輝くものは潰える。

 だからこそ、ゆっくりと歩みを進める。

 白い偶像と共に……。


 未来は自らの手の中にあると信じて。

 聖なる夜はもうすぐだ。

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白の偶像 四季島 佐倉 @conversation

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