第6話 今、来たり

 住宅の氷柱が地面を貫かんとばかりに背を伸ばしている。 

 雪はすっかり止んで灰色の雲の隙間から陽が顔を覗かせている。

 そして、それを誤魔化すように雲がそれを隠す。

 人々は傘を閉じて嬉々としている。

 冬将軍は通り過ぎたのだろうか。

 「兵どもが足の跡」と云ったところだろうか。

 本物は夏の俳句なのだが。

 私の頭の中は依然として雲がかかっている。

 もう一度路地をの方を指さしては、記憶を確かめ、現実だったのかと自問する。

 真実は何なのか、良い方法は何かと模索する。答が思考回路を放浪する。

 そして、根拠も過程もない結論を導き出す。

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