第4話 To alive is not happiness,To die isn't …

 私はこんなようなことを見ず知らずの雪だるまに話した。当然正気ではなかった。

 ろくに話し相手も居なかった私は会話のブレーキを持ち合わせていなかった。

 彼は頭に乗ったバケツを被り直しながら答えた。

「貴方は強いですね。」

そう謂って彼は微笑む。

 長時間の沈黙の果てに私は仮説を組み立てた。

 記憶が失われても、個人の本懐や真理が喪失しないのであれば彼はきっと…


「私が強い?」

 私が首をかしげると彼は諭すように言う。


「僕が思う限り、あなたは素晴らしい人間だと感じます。ですから、生きることを諦めないでください。自信は大事です。」

 

 彼のキラキラとした言葉に返す言葉が見当たらなかった。

 彼の言葉は拙い、根拠もない、主観的な感情論だったが何か心に訴えかけるような詞であった。

 この時私は初めて誰かに認められる歓びを知った気がした。

 生きていることを存在している事を許されるような安堵を覚える。

 生きることが希望とは限らない。死ぬことが必ずしも絶望とは限らない。

 しかし、それに反逆するように己の心に活力と死の恐怖が現れた。

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