吸血鬼に狙われた私 (現代ファンタジー)

 太陽が照りつける真っ昼間。逃げる私の後を、悪い吸血鬼が追いかけて来ている。


「待てー、お前の血を吸わせろ—!」

「待つか―! て言うか、あんた吸血鬼でしょ。太陽の光を浴びたら、灰になるんじゃないの!?」

「ふはは。対策はバッチリだ。ちゃんと日焼け止めクリームを塗っている!」

「そういう問題なの!? ああ、でももう私の勝ちよ!」


 何とか家まで逃げてきた私は玄関から中に飛び込んで、ドアを閉めて両手でガッチリと押さえる。


「おい、開けろ。開けないか!」

「ふっふっふ。吸血鬼は許可がないと、家に入れないって弱点があったわね。さあ、諦めて帰りなさい」

「くそ、かくなる上は……」


 メラメラメラ!


「キャー、家に火をつけたー!?」

「バカめ。確かに俺達吸血鬼は、許可が無ければ扉を開くことができない。しかし、扉が開けないなら、壊せばいいのだ! 家に入れないなら、家を燃やしてしまえば良い!」

「何よその暴力的な一休さんみたいなトンチは!? ええと、それじゃあイチかバチか、これでどうだ!」


 火のついた家から外に飛び出した私は、手にしていたソレを吸血鬼に突き付けた。


「そ、それは! うわああああーっ!」


 声を上げて、消滅していく吸血鬼。

 う、上手くいったー。まさかこんなもので撃退できるだなんて。


 手にしていたのは、スペ〇ウム光線をうつポーズをとっている、ウルトラ〇ンの人形。ちょうど手が十字の形をしていて助かった。

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