祖母の話・前編 (ノンフィクション)
祖母の話。
地元熊本を離れて、大阪で働いていた時のこと。会社の先輩が、こんなことを聞いてきました。
「お前、たまには実家や親戚に、電話してやってるか」
「はい、まあ。この前祖母に電話しました」
「婆ちゃんか。いったいいくつなんだ?」
「えーと、八十八です。そういえばその時、『疲れた』って言ってましたっけ」
「おいおい、大丈夫か? もう結構な歳だろ」
心配する先輩。いや、それが実は……。
「婆ちゃん、少し前に旅行に行ったんです。熊本から東京に行って、二日間観光して、次の日今度は名古屋に行って、一日遊んで。一泊した後、飛行機に乗って熊本に帰ったんですけど、次の日今度は用事で、鹿児島に行ったんです。日帰りで帰って来ましたけど」
話を進めるにつれて、先輩の顔がみるみる変わっていきます。名古屋の話が出た頃には
(゚□゚;)こんな顔になっていました。
「……で、丁度その鹿児島から帰って来たタイミングで俺が電話して、その時言われたのが『疲れた』だったんです」
「そりゃ疲れるわ! それだけ遊んだら、俺だって疲れるもん! メチャメチャ元気じゃないか!」
はい。ですから自分も、当分は健康だろうなと思っています。
とっても元気な、うちの婆ちゃんでした。
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