不登校とお母さん (現代ドラマ)

 いじめにあって、不登校になった私。そんな私を学校に来るように言う先生からの電話に、お母さんが対応している。


『クラスの皆も、サキさんが来るのを待っていますよ』

「皆って、いじめてた子達のことですよね。いじめる相手がいないから、来てほしいってことですか?」

『そう言うわけじゃ……。来ないと、勉強も遅れてしまいます』

「ご心配なく。勉強は家で、しっかりやってますから」

『社会に出たら、苦しい事はあるのですから。今のうちにちゃんと、我慢することを覚えておかないとですね……』

「そうですね。社会に出たら苦しい事はあるよですから、今のうちにちゃんと、逃げ方も教えておかないと。我慢してばかりだと、壊れてしまいますから」


 こんな感じで、先生の言うことをかわしていくお母さん。そしてついに根をあげた先生が電話を切って、ようやく決着。

 電話を終えたお母さんは、不安な気持ちで一部始終を眺めていた私を見て、そっと頭を撫でてきた。


「嫌なのを我慢して登校する方が、偉いって思っているのかしら? 逃げる事も、立ち向かうのと同じくらい、勇気がいるのにね」


 ……少し気持ちが楽になった。


 どっちが偉いという話じゃない。私は自分を守るために、不登校を選んだだけ。恥じることなんて何も無い。


 私を怒らずに、肯定してくれたお母さん。ありがとう。


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