第288話 後後163 ミッドナイトクイーン
領主様が小館に来た。
ガクと泉が領主様の別荘に呼ばれ、王妃様との顛末の説明を受けた。
「だから大丈夫だ」
「「ありがとうございました」」
「ときに、アレを大田さんにやってもらうのがいんじゃないでしょうか?将軍様のことなので、できれば王妃様が指揮されて、、多分長く続くでしょうし、、」
「・・・・ああ、、あれか、、あの芝居の!」領主様、さすがだなぁ、、あんな昔のこと覚えているよ、、俺も思い出すのめんどくさがってアレとしか言わんかったのに、、
「大田が、わかるのか?」
「むしろ彼のほうがいいかも?誇大表現しみついているだろうし、、」
へんな顔する領主様、思い当たることがいくつもいくつもあるのかな?
「まぁ、、だな、、わかった、言って見るわ。助けが必要になったら、できるだけ助けてやってくれな?」
一応俺がヲタさん苦手なのを判っているような領主様の物言い。
「わかりました、そーならないでほしいっすけど、、もしかしたら博子も好きかも、、あいつも剣好きだから」
「ほう、剣が好きだと、その物語が好きなのか?」
「一応、そうだと思います。」
ほうほう、、なるほど、ふむふむ、、とか、少し喜んでいる領主様。戦闘狂だからねー
ときに、とガク
「ドラゴニアから王様達がこっかえひっかえやって来てますけど、領主様は混じらないでいんですか?」
「えー、、儂もぉ?」
「将軍様、毎晩一緒に騒いでますよ?シューレの店で」
しかたがないか、、今晩顔出してみるわ、、としょげいた。
そういうところはガクと似ている領主様。そういう方面にパワーを使うのは得意でないようなのだ。
で、いっしょに、、とか言われる寸前、「ではこれで!」と、泉とガクは強く言って領主様の小館別荘から去る。
上司を見捨てる二人!それは上司のお仕事でしょっ!!って顔w薄情である!!
「まぁ、王妃様とかが来ていないだけよかったな」ガク
こうやってフラグってのを立てまくるのだなコヤツは、、(泉)
「まぁ、王都に誰も居なくなるってのも問題だろうし、、」泉
最近フラグの回収はとても早い。
と思ってたがが、翌日も翌々日も来ず、安心していた泉。
あれから7日も過ぎようとしていた頃、、豪華絢爛というのではないが、美しい、そう、、
名付けるなら
ミッドナイトクイーン
夜の首都高をぶっ飛ばすのが似合いそうな馬車である。
ガク達がシューレの店の前のテーブルで昼飯を食っていたら、、目の前をゆっくり通り過ぎるのだ。
漆黒のボディに下部に金の弦バラが品良く描かれている。窓枠とか金ピカではない。が、ドアノブや、御者台の金具など、控えめに金いろが使われている。
後輪の車軸幅は広めで安定感を出し、車高は少し落としてあり、見ていてもサスが固めなのがわかる。
車輪の幅は通常の二倍あり、当然魔物の皮が厚めに巻かれている。
馬力、、馬は4頭建ての倍の馬力である。
「走り屋仕様、、、」ガクは思わずつぶやく
いつの間にか隣には領主様が来ていて
「ああ、真に恐ろしいのは、アレだ」と。
「・・・もしかして、、大田さん?」
「・・・もしかしなくても大田しかおらん」
「いや、最近は熊もあれくらいなら考え出しそう、、」
「・・・・・まいったな、、、」
なぜ領主様の邸で仕えているはずの大田が王様のしかも王妃様のほうに出張ってたのか?!!謎は深まるばかりである!!
(まぁ、博子が絡んでるんだろうけど、、多分、、)ガク
馬車は通り過ぎていき、将軍様の離宮に向かった。
「わし、将軍に言ってくる、今は日のいずる国の離宮にいるはずだ、」
と、ダッと走っていった。
彼が走るのは、戦場か緊急事態のときだけだ。
つまり、そういうことだ ぷ
日のいずる国、小館離宮
「ご注進でござるぅうう!!」領主
こんな場合でも、いや、こんな滅多に無い場面だから逃さずに使うのか、流石戦士である!!
一度言ってみたかったのだろう。
洋風茶室でドラゴニアの王達、日のいずる国王夫妻と茶を楽しんでいた将軍、慌てふためいた素振りの領主に応える
「何事かっつ!!御前であるぞ!」しょーぐん
この人もノルほうなんだな。あんたがその”御”なんだがなwまぁ他にも王様ばかりだけど、、
つか、ここに居る者たちだけでも世界破滅させられるなぁ、、的な戦力だよね
「・・・王妃様」
「・・・は?・・・」
「王妃様が、、来られました」
「・・・聞こえなかった、、」
「王妃様が来られましたけど!」
「きこえなーい!!なにもきこえなーい!!」
「あんた子供かっつ!!隠れないでいいんですかっ!!」
「・・おっ!!そうだ!かくれなけれb
バタン!!
「あなた?隠れるがどーの、って聞こえましたが?」
王妃登場!!
後ろに華子が控えている。やつがゲロしたな?
滝のように流れる汗、もちろん将軍の。
「うむ、、紹介しよう、、、皆、これが、私の妻だ、椿だ、、敵の首をぽろぽろ落とすんで、、」
「・・私の名前は産まれた時に決まったのですよ?」
「お、、そうだったな、、、」
戦場での活躍を見た臣下達が、その戦いっぷりを”名前の通り、くびちょんぱまみれだ!!”と、椿のごとく首をぽろぽろ落としていく、と広めたのであった。
王妃の親は、子を見て行く末を判っていたのだろう。
その勇猛果敢な女性を后にできた当時の将軍は大得意だったが、結婚後、
「浮気したらあそこを椿の花のようにおとされますから気をつけて」と親友の東(現東武領領主)に言われたことは、今も身にしみている。しかも、あそこだけってわけじゃないよな?と、それは一種のぷちトラウマにまでなりかけているかもしれない?
ドラゴニアの王様や王妃様達は将軍の王妃様を喜んで受け入れ、一緒に茶をした。
まぁ、この人のことだからすぐ怖さ忘れて調子に載るだろう。
そうやってこの夫婦はうまくいっているのだった。
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