第289話 後後164 深く静かに潜行してる武国の危機


王妃様が来て数日後、王様(将軍様)が王都に送り返された。

帰った、のでは無く、送り返された。


最近は各国といろいろやり取りが多いので、王か王妃がいないと滞ってしまうのだ。

サインの多くは王妃様のサインでもOKだから。

それだけ王様をほんとに尻に敷いているということでもあろう。

執務の殆どは側近たちがほぼ上手く終わらせ、最終決済を王か王妃に仰ぐ。

彼らは優秀なので、ほとんどリテイクなし。


「私はこちらにあまり来ていないので、今回は私に譲ってくださいますね?特にドラゴニア連邦の方々は面識ありませんので、この機会に懇意になっておかないと。」王妃

イヤとは言えない将軍様


で、王妃様が日のいずる国の国王夫妻とプッチー夫妻と仲良くなれたとき、将軍様はお役ごめんになり送還された。

華子は残っている。王妃が居ない王宮だと、また博子と遊び始めるかもれないので。


将軍様夫妻は、場所を選ばず平気であれこれ言うので、食堂に行っているガク達も聞かずとも聞こえてしまう。

(これ、何があろうとも将軍様を舐めるヤツなんか出てこねーだろ?こんなかみさんいるんだから)泉さん

(ですよねー、、、最強じゃないっすか、、つか、睨まれたら国出ます俺、、)

(おう、俺もそーするわ、、)

そのくらい怖そうなのだ。


「昔はなぁ、、もっとこう、、儂の嫁さんと一緒にいたときなんざ、可憐な花二輪、って感じだったんだがなぁ、、」領主様

「今は?」

「・・・(鬼ゆり)」


こちらを振り向いて、ニコリと微笑む王妃

ぞぞぞぞぞーーー!と、、寒気が、、3人を襲う。


(勘、すかね?)ガク

(だろうな、、)泉

(そこまで行ったのか、、いつの間に、、)領主様


場所をもう一軒の居酒屋に移す。


「はぁー、、落ち着く、、、」

「まったくだ」

「ほんに」


熱燗を漬物とヒモノで飲む。漬物は作り方に上手い下手もあるが、上手い中でも好き嫌いが出るものだ。なのでそういうのだけはシューレでもなかなか難しいらしい。

ここの漬物はガクも泉も好きなほうだ。

ガクは先程の寒気でハラ減ったらしく、ご飯も貰って漬物で食っている。ヒモノもあるのだが、、今日の漬物は当たりのようで、一心不乱に。


領主様もそれをみて腹減ったらしく、、領主様もがつがつ食ってるのを見て泉もご飯を頼む。


なんか、、いいノリのれん中である。


ーー


数日後、

シューレの食堂で夕食を食べていたら、その席に王妃様が来た。

え?なんだろう?

「同席よろしいかしら?」王妃

「・・どうぞ、、」泉

こくり、、と頷くガク

華子も一緒だ。


「もしよろしかったら、諸国漫遊の話を聞かせていただきたいわ」

しょこくまんゆうう??変換機能がおかしくないか?


「どのような?」

「そうね、あなた達はかなりあるのよね、、まずは最初の北山以降から、かしら」


(思い出すの?と俺を見ないでください泉さん!)ガク

(お前話せよ)泉

(えー、泉さんのほうが上じゃないっすかー)

(俺、剣士だもん)

・・・・・


「えっと、、」

と、思い出しながら、最初の峠の宿の話から、北山残党だった駐在武官側近、ケーキ、デブ、現地住民、食事、宗教、人びと、地域、妖精、諸国の環境、いろいろ話した、が、2−3割程度話して遅くなっていた。


「また明日の晩、よろしいですか?」

「何もなければ、、」泉

「ええ、急に何かあったらそっち優先させてもらいますが、、」ガク

「それは当然です。」王妃

まぁ、、将軍様の奥さん、領主様の知り合いじゃ、物分りは悪くないはずよな、、


でも、

(千夜一夜かよ、、終わったら死ぬの?)ガク

(いやいや、東の大陸のこともあるし、尽きねーぞ?)泉


一緒に居た領主様もずっと一緒に居てくれて、一緒に笑ってはいたが、言葉は挟まなかった。


王妃と華子が歩いて離宮に戻っていったあと、


「どういうことですかね?」

と領主様に聞くガク

「おう、俺もなんか引っ掛かる」泉


「・・・あれじゃないかな、、お前たち、先日、睨まれたら国を出る、と言ったろう?」

「えー、あのくらいでぇ?で、俺達と仲良くなって、、とかですかあ?無いでしょう?」

「いやいや、よく考えてみよ、逆の立場だったらお前たちはどうする?国を出てほしくない者たちに、自分が怖がられた。国を見捨てられる理由に自分がなっちゃうんだ。どうする?」


「待遇とか関係ないもんなぁ、、」

「ああ、貧乏でも問題ないぞ?」

「こういう奴等を引き止めたいんだ、どうする?」


「・・・・わからん、なんか面白いことが、、居続けたいと思う面白さがあれば、、」ガク

「うーん、、、どーでもいいし、どこでもいいなぁ、、ただ、領主様の下に居るってのは俺は好きだ。」泉さん

「あ!それそれ!それだねー!!それだけだねっつ!!」ガク

それだけって、、


「武国に居る理由、それだけ?」領主様

「「うん!」」

「だってなー、メシもケーキも農国のほうが美味いし、、日のいずる国だって農国に匹敵するメシとケーキだ、」泉

「・・・武国は?何もないのか?」

「んんんんん、、、特級酒、、かなぁ、、それくらいかなぁ、、」

「俺は、モフ達だなー、、あ、でも向こうにも多いし、、困るなぁ、、」


なんか、余計向こうの良さを再確認させてしまっている領主様。

自分でそれに気づいたときは、もうどんどん思い出している2人。


「ドラゴニアに住んで見るのも面白そうですよね?」

「ああ、あそこはなぁ、、強いの多いし(泉:元武士、現剣士、魔法剣使える)、、田畑ももっと伸ばせるなぁ(泉:実家がプロ百姓)、、ガクも好きそうだよな?」

「そりゃ、あんだけモフモフばかりならねぇ!!」

もう、行っちゃおうか?て言うだけの状態にまでなっている気がする領主様!!


王妃のおかげで大変な危機である!!!

どうする東武信太忠!!(あずまたけしのぶたた)

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