第287話 後後162 恐ろしさ勝負!
モグラがどういう働きをしているか知らないけど、なんか言ってこないし戻ってこないんで、上手く行ってるのかな?とくらいにしか思わないでさほど気にしないガクと泉。
泉は自分の最初の村であるいずみ村にたまに顔を出しちゃ、差し入れをしていたが、今では立派な村になっている。
年貢も規定はもちろん、戦後の賠償の分を加えて、更に献上としてそれの倍以上を入れていた。そんでもまだ余裕ある。
獣人が多い上に、人間社会の仕組みをうまく取り入れているのでものすごく効果的な様だ。
ただ、これは真似してできるもんではない。
一緒に死ぬほど苦労を乗り越えてきた信頼関係を持つ、家族同様になっているからそうなれたのだ。
例外中の例外だ。
自分一家の明日食う分、それが最後なのに、今日食うのに困っている一家に与えられるか?
それをやってきたのだ、この村の連中は。そして、翌日は皆で空腹か、皆で獲物を獲ってどうにか食えたか、、を繰り返して今の場所までやって来たのだ。
当時は、魔獣に襲われても撃退するのがやっとの戦力しか無かったのに。
反動で異常に強くなったけど。
泉が面倒を見ていたいずみ村の、そこの獣人部隊は、領都にも小部隊を派遣している。なので領都で小館隊と一緒の駐屯地にいる。
演習とか、力などの関係から獣人同士でやらなければ鍛えられないので、当然一緒に訓練する。
小館村は村長が居る。が、そこの獣人達は実質ガクに従う。が、ガクは戦闘向きではない。もちろん村長も。
なので、村で村民に剣や気の稽古を付けている泉がその任を実質負っている。
ちなみに今現在武国で最強の部隊は小館隊だと言われている。そしてそれに匹敵すると言われているのがいずみ隊。
泉は最強の部隊2つの指揮官だと言えよう。
すごいね!
更に、泉が小館隊の一部と一緒に、北山領主とそれに結託して西の国の部隊を討伐した武勇伝は、武国ならずとも有名になってる。
もともと東武領は、領主の武芸はともかくもその指揮能力はとても秀でていて、領軍としては武国一だった。
それが、更に異常な強さの部隊を作り上げ、更にもうひとつ作り上げた。
しかも、同盟各国からそこの最精鋭の獣人部隊が研修に来ているという。
最初は東武領に負けるな、と意欲を燃やしていた各領主、今は「あそこは別格、もーどーでもいいや」になってしまっている。
まぁ、周辺域ほぼすべてが同盟になってるし、西の大陸のドラゴンの連邦まで同盟になっちゃったもんだから、もう戦争はまず起きないだろう。特に今まで行き来どころか存在すら知らなかった東の大陸の最大の軍事国家をも潰したのだから、平和なもんだ。
いざとなれば、ドラゴン達が退去して押しかけてその国を潰すだろうし。
「なので、あまり戦力あっても意味がさほど無いんだよな」
と泉がガクに愚痴をこぼす。
ここはシューレの食堂。
今は夕飯時。
食堂の向こう側ではまたドラゴニアから来た王族連中(ドラゴン人)が宴会レベルだ。
ここ(武国)の将軍も混じってる。
「なんでここ(小館村)に集まってくるんだろう?」ガク
・・・・・こいつ、、、と心底思う泉
魔法も使えないし、武芸も大したこと無いし、やる気もないし、あるのはモフへの情熱だけ。
なガクなのだが、ついでのようになんだかんだやったことや、モフ情熱のためにいろいろやったことなんかが、なんかいろいろ絡み合ったり、その他もろもろ色々で、今ココ状態。
もちろん泉も関わることも多かったが、それもこいつがいたからだと思う泉。
一番恐ろしいのが、こういう、ほげーっとしている者なのかもしれんなぁ、とも、思う泉。
「私もそう思うぞ」
と、いつの間にかそのテーブルに付いておちょこを煽ってるシューレ。泉の考えを読んで答えたのだ。大精霊様だからね!
「こいつは、私がまだフィジニに未練があるとか勘違いして、冷ますためにこっちに連れてきたようだ。勘違いも甚だしいが、(どうだか、、と泉)、まぁこいつとお前が生きているウチは、ここを離れれないなぁ、とは思うな。」
うえ、そうだったのか?いやいや、、そうは言ってても、、と考えた途端、シューレのパンチを顔面に食らうガク。
「そんなに面白いか?」泉
「ああ、何やらかすかわからんのが、面白い」
あー、そっちか、、
「あのロボットとかアホウすぎたろう?あと、おまえの魔法使いとか」ぷ!と、シューレ
「やめろ、あれは、悪夢だ。俺の気の迷いだった、、」泉
「が、たしかにあのロボットってのはアホウすぎてすごかったなぁ、、あれだけで火縄より強い銃がいくつもある軍でも、一発で終わったからなー、俺らの意味無い闘いだったな。」
「あそこは例外だろうけどなぁ」
まぁな、、だといいがな、、(泉)
だが、この2人はまだ気がついていないのか、、
ガクや大田や博子が、なぜ各自そーゆーことをやってるのか?を。
”おもしろそう”
これだけのために、だ。ほぼ全て。
基本、ガクの”おもしろそう”は、皆のためになることが前提になっている。
大田は自分が面白い、為に。
博子は、今は、華子が面白がる、為に。
なので、被害がそれぞれ異なる。
前の世界でも同じだったのだろう。そうそう変わるものでも無い。
なので、ガクは向こうに居る時は料理を自分でしてみたし、家の手伝いもいろいろやっていた。百姓としてはまだまだ駆け出しだったが、真剣にはやっていた。
そういう知識と経験もベースになっている。
博子も大田もそうだが、大前提が異なるし、そうなると経験の傾向と質も異なる。こっちの世界では役に立たないことも多い。というか害になるモノ、コト、も少なくない。
こっちの人は、知らなくとも、感覚的にそういうのを忌避できる者も少なくない。
なので、付いていく者が違う。
華子(姫)は小館に来ていて、博子は王城で勉強やらお稽古の毎日。
こっちに居る華子は、毒気が抜かれたようにおとなしくなっている。なのに鬱憤貯まるような気配も無い。
普段に戻った、ような感じだ。
王妃がうまくコントロールしているようにも見受けられる。
その王妃はあれから領主と話してどうなったのか?
「自覚していれば今までと同じでいいですよ?将軍様が結構変わったので、舐める輩がで始めそうなのでそれの牽制です。我が国ならず同盟内で飛ぶ鳥落とす勢いのあの2人をビビらせとけば、それを知ったモノは私には逆らえないとわかるでしょうから」
いつの間にか、ガクと泉が王妃に叱られてビビってしまった。という話が、城の者たちから世間に漏れいた。
王妃が華子(姫)にことづけたのを皆が聞こえる所で言ったのだろう。
で、すぐにその2人の主である領主が駆けつけた。
それだけでもわかることだ。
舐めてりゃ放置でもよいくらいのことだった。
(いつの間にここまで黒く?!!)とびっくりした領主。
その顔を見て、
(あらあら、貴方方と一緒に過ごしていた時に本性出すと思いますか?ふふふっ)と、王妃はほくそ笑む。
それを知ったら、武国でも最強の軍を持つ東武領領主でも、一番怖いのはこいつだわ、と心から思うのではなかろうか。
いや、自分の妻はこんなに黒くなくってよかった、、と亡き妻を更に偲ぶかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます