第284話 後後159 北山からの離散農民、その後


今日は泉さんに、あの旅に出た始めの頃に出た離散農民山賊始めの奴等(中−14話)と北山討伐を手伝ってくれた鳥夫達(中ー16話)がどうなったかみたいので、彼らが作っているという開拓村に連れってもらう。なんか道具の搬入に行くと言うので、ついでに連れて行ってもらうことになったのだ。



満載の荷馬車に乗り、街道を南に向かい、途中で西に折れる。

「え?東じゃないんスカ?」

「東は森が深いだろ?」

まぁそうか、、獲物多いんだけどね、、まぁ農民だからね、、、狩人とか冒険者じゃないからか、、


東は平野で、木々も生えているが、開墾はしやすい。


「・・・・多分、、俺が最初に来たところに近いかも、、」

「へぇ、おまえ、ここらへんに放り出されたんだ、、、危なかったな?」

「ほっそい道一本。間違えたら餓死して死んでた」

「・・・・今なら大丈夫だろうけど、、来たばかりじゃあなぁ、、獲物なんか取る技量なかったろ」

「水さえろくに探せなかったwww」

・・・・


そりゃ江戸時代の人民に比べりゃ無能もいいとこだろうよっ!!比べたらいかんよ!!現代人は無能なんだかっつ!!

技術使えない環境じゃ完全究極無能ですとも!!

「・・比べるのが悪い」

「そりゃそーか、、」泉さん


がたがたがたがたがたがた・・・・


ほっそい道を横切る俺達の通っている新し目の道。

このみちぃーわーいつかきたみぃちー、そーよしにそーになったみちぃーよぉー

「多分、今交差した道です。南に山あるでしょ?」

「ああ、あれ超えたら港のある領だな」

「ええ、あっち向かったら死んでた」

「歩きじゃ、、7−8日はかかるんじゃねーか?いや、来たばかりじゃ、10日以上だな。それ以前に道が途切れるんじゃないか?」

・・・森(山の麓)で道が終いだったらしいし、、完全に死んでたな、、、


荷馬車なので、道もそれほど良くないんでのんびり歩いているんで、干し肉かじって水飲みながら昼代わりに。

途中で小川あったので馬に水を飲ませる。


「これだな、、」

「っすねぇ」

二人共実家農民。

この川細いけど、水量が小川だけど、、

土手っぽいのが両側遠くにある。

昔は水量多かった。氾濫は頻繁にあった。

だから、ここらが平野で肥沃な土地で、木もそれほど年齢が無いものばかりなのだ。それがわかった。


多分、もっと上流で何かがあって、川のルートが変わった、とかなんだろう。


「誰がその場所選んだんですか?」

「ああ、奴等が自分達で探して、そこ使っていいですか?ってそんちょにお願いしたらしい。そんちょは領主様にお願いしたら其の場で許可来れたと。資材とかもくれたそうだ。基本的に”いずみ村と同じようにしてやってくれ”と言ってくれたらしい。」


「んじゃ助かりましたねぇ、、」

「ああ、最初だからなー、乗り超えるのが大変なのは」


天然テント暮らしみたいのして開墾し、畑やりながら狩りして食い物調達し、畑やりながら切った木を利用してとりあえずの家を作り、、

井戸を掘るのなんかずっと後だ。

まともな家を作るのもずっと後だ。

最初は死なないように食い物、水。そして畑は常に作り続けなければならない。じゃないと作物はいつまで経ってもできないから。

こういうのが一般的な開拓はじまりの時期。


いずみ村と同じ事、ならば、家々を、つまり村を作って、井戸掘ってもらい、灌漑してもらい、ってことだ。

狩りさえできてりゃ充分暮らせる。でも農民なんで畑を作る。ここいらの土地が肥沃なので、耕さない農民はいないだろう。

うずくよね!!


日が向こうだったら3時ころに傾いた頃、小さな集落が見えた。

開墾された地帯はすぐそこにまで広がっていた。しかももう作物が育っている。


「速いっすね?」

「ああ、でもな、奴等、小館に来て数日でもう出て周り、半月もしたら土地見つけてお願いしていたらしい。」

「・・・んじゃ、、、ここ、、もう、、」

「ああ、まる3年以上だ。」

・・・・

つまり、俺ら遊んでた間にこんなに?


「何考えているのかしらんが、、俺らは遊んでたわけじゃないからな?西や東に遠征、あの旅だって結果から言えば外交みたいなもんだろう?」

まー、そう言えなくもないかもしれないかも、、、



畑には人影が見える。一生懸命やってるのがわかる。こちらに目もくれない。


程なく集落に入る。家が10軒以上。一人一軒。これは皆いずれ家族を持つ、ということだろう。

当然店屋など無い。


奥に少し大きめな建物で、前庭が大きな家。

集団を仕切っていた者が、村長にされた、と泉さん。

「奴以外に適任はいなかったからな、泣く泣くなってたわ」

そりゃ開拓村の村長なんか大変すぎて、、


積んできた荷物を村長宅に運び入れたら、馬はスッキリした顔。荷が無くなって嬉しい様子だ。

馬車から放し、牛用の厩でかいばと水を与える。


ほどなくトリオが獲物を担いて帰ってきた。

「よお!」泉さん

「泉さん!久しぶりです!」


得物はデカイいのしし2頭、普通クラスのオーク1頭、ツノウサギ5羽。


「結構獲ったな」

「ええ、今日はツイてました。」

「3人でこれは、すごいね?」ガク

「こいつら見た目より強いぞ」

・・・・・3人


「それに、これ以上獲っても持ってこられないからな」泉さん

「ええ、領主様から荷馬車頂いているけど、森には持っていけないし、、」トリオ1

「まぁ、もう干し肉も結構溜まってきてるんで、あまり獲る必要もなんですよ、、まだ俺らの村には家族ないですからね」トリオ2

「これでも、2−3日に一度で済むし、他の日は畑を手伝えるし、、」トリオ3


「安心したよ。でも、もしなんかあったら、言いに来いよ?」

泉さんがそう言うと、嬉しそうにはい!と返事した。


んじゃ俺風呂当番だから、と2,と3が風呂の用意をしに行った。

熊チームが作った村に手落ちはないようだ。流石熊チーム!


俺らが持ってきた物資

樽酒、農作業の道具、大工道具、スコップ、剣、槍、網など漁用(養殖に使える)、種など、キノコ栽培セット、米。

などを必要量に応じて考えて持ってきた。なので重かった。馬大変。

特に、米は久々だ、と喜んでいた。

「まだ水田無いですからね、麦食ってます。」と。


その晩、みなして宴会を開いてくれた。

苦労話は尽きないが、皆「場所が良かった。以前よりもずっと良い」と言っていた。

川が近くなのが良いのと、あと網が来たので念願の養殖が始められると。養殖池は川の淵に掘っていたのだが、網がないのでできなかったと。


きのこセットは泉さんが考えて持ってきた様子。

「んじゃ、おれんちでやってみるわ、、屋内がいいんだよな?」

と、一人が言うと、んじゃ俺も、と数人が名乗りあげ、多めに持ってきたのもすぐ引き取りてが決まった。


養殖はトリオがやるという。池を作ったのもトリオらしい。


皆自分のやるべきことを考え出し、頑張っているのがよくわかる村だった。


「酒は、いつまで持つ?」泉さん

「半年くらいっすかね?」リーダー

「んじゃ、其のころだな」

「すんません!助かります!!」


米より酒優先らしい。米、どう見ても半年もたねーw

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る