第277話 後後152 食堂メニュー
小館村
シューレは困っていた。
メニューが多いと選びきれない者が多いのだ。
「そんじゃ、メイン20とかにして、季節のとか一時期だけのは壁に張って、それ以外では”注文受けます。材料有れば作ります”ってすればいんじゃないか?南の国とかの屋台、半分くらい注文で作る、だったぞ。」泉さん
「そんなのありなのか?」シューレ
「屋台だからな、そう材料は多いわけじゃない。が、客も馬鹿じゃないから、表にでている材料と、調理器具でどんなのが作れるのか?位見当付くんでな、大体できる」
「馬鹿な客がいないってのがいいな、、」
・・・
「いや、ここのことじゃないぞ?ほれ、私は今までいろんな所にいたろ?」
ああそうか、と、店内にはほっとした空気が流れた。大精霊にバカ認定された村とかになったら大変である!!
「そんでだな、シューレがそれやれば、其の方式が武国内にも広まると思う。そしたら作るほうは楽だろ?」
大精霊の食堂やケーキはこの国のそれらの基準として見られているのだ今では。
で、注文受けるってのは一見めんどうくさそうに見えるが、実は違う。
こっちは前の世界と違い、一軒一軒の料理の差が大きい。全く違う料理じゃないの?と思える位の差がある場合も珍しくない。
前もって切っとくなり下ごしらえするなりして、それを旨く利用すればいい。注文だと、メニューにあるよりかなり少ない種類に成りがちだ。作る方は慣れれば、こっちのほうが楽なのだ。
「で、当日仕入れた材料を表の見えるところに出しておけば、客の多くはそれを元にした料理を頼みやすいわけだな?」シューレ
「そういうことだ。」泉さん
大体どこの店でも慣れたらメニュー見ないで注文する客は多い。
メニューがなければ、一見の客は他の客の料理を見て判断する。
こっちじゃメニューがないとか怒る我儘なバカは居ない。
で、シューレは、結局、メニューナシにして、壁にいくつか貼っ付けたのと、「注文受けます云々」を始めた。
客側に全く変化なし。
たまに、料理の名前がわからなく、こーでこーでこーゆーやつ、みたいな説明で、オバハン達が判断して作ることもある。少々違ってても客は文句言わないで食べる。で、その料理の名前だけ聞いておいて、次回は其の料理ではなく、と前置きしてこーでこーでと説明を始めるわけだ。
「そーいえば、フィジニのとこもこんな感じでしたねー」
「ああ、そう言えばそうだったな、、メニューなんか古くなってて、言わねーと奥から出してこないし、メニューから選んでも、今日は材料無いとか言われることもあったなぁ、、」
聞いていたシューレ
「メニューの意味ないじゃないか。」
「無かったねぇ、、」
「ですねぇ、、」
・・・・・
「そのかし、今日はこれ仕入れからコレ食え、とかが多かった。つか、毎回」
「ああ、だいたいそれ食ってましたね。それが一番美味い。」
なるほどなぁ、、とシューレ。
「ウチの村周辺はは食材多いから、なかなかいいんじゃないか?」
「ああ、最近は農家が売りに来るから楽だ。その日の朝に採った物を持ってくるからな。」
「魚とかも言えば朝に引き上げて持ってくるんじゃないか?」
「たしかにそうだろうな、、やってみよう」
以前はガクと泉がちょうどよい野菜を朝昼ととってきていた。が、農家もそのくらい選別を厳しくすると、シューレの店に入れられると知り、いいのを採って持ってくるようになったのだ。
なので、畑は村長の家で管理することになり、必要なときだけ取りに行くことになっている。一日育ちすぎたのは、そんちょんちの判断でどっかにあげたり、漬物にしたり、干したりしてる。
モグみたいな、味どーでもいいです、みたいなのが来ると、丁度いいと質より量で出せるので、それもまた古くなりそうな材料を使えるので助かる。まかないで使える量も限度があるから。
シューレみたいに上手くなれば、火加減や淹れる量を調整したり、など、材料の質によって変えて、どうにかしてしまうことができるが、弟子たちではいまだしている料理並にすることは少し難しい。
半日育ちすぎた野菜とか、客は気にしないけどね!でも弟子のものを見る目を育てるためにやってる様子。
おかげでガク達は高級料理店以上の材料を使ったメシを食えているわけだ。
「俺ゃー、このメシを食うと、村に帰ってきたなぁ、、と思えるんだよな、最近」熊
「確かに、それはあるな、、」泉さん
言われてみればそうだな、、と思うガク。
3人共村の外に出ることが多い。なので不味いメシとかでもそんなもんだと食ってしまえる。だが、やっぱり美味いものはうまい。
昼メシを食い終え、皆また自分の持ち場に帰る。
ガクは、今日もモフだ。
今日は子どもたちが多く来るらしいので、とても楽しみ。
毛並みが全く違うからね!!
メシは、健康的な飯で、かつ、美味いと、消化も良くなるらしい。
午後の仕事にも影響あるだろう。
材料、調理、が揃ってる村。
そして、人材も多く、特殊技能も多い。
外との付き合いも多く、情報も入って来やすい。
王都から離れ、しかも領都からも離れている村で、こんなところ、どの国でもないだろう。
でも、それに気づいている者はいなさそうだ。
多くは、小館隊、モフ神、だと思っているからな。
それは結果の一つひとつでしかないのに。
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