第275話 後後150 それぞれ
冬入ったなー、と思うのは、たまに氷が張っているのを見る時。
雪が振らない小館に氷はめずらしいが、それだけにThe冬!!って感じがもろなのだ。
それ以外は、、、あまり木枯らしも吹かないし、、まぁ寒いよな、みたいなー。
元の世界の寒い地方の連中が聞いたらどつかれそうだが、
ここの冬は楽ちんなのだ。
だが、寒がりなガクには厳しい。特に朝。
しかも朝は鍛錬があり、泉さんが起こしに来る。無言で布団をはぎとりふとんから引っ張り出される。仕方がないから着替える。で、鍛錬始めりゃ体は温まる。汗が出るほどやる。汗かくのが一つの目安とからしい、冬だと。夏は汗かいてあたりまえなので。
こっちの者たちは健康だ。しかも病原菌がいないのか、流行病とか聞いたことがない。多分神様が良い神様なのだろう。
どっかみたいに凶悪な霊とかを神に祭り上げるとか無いので。あれ、今思えば悪魔教みたいなもんだよな?こええ・・・。
泉さんに言ったら、「まぁそうだな、、たしかにそんな気が多かったかもなー」
まじですか?、、、
モフ神様、よかった、、、まともな神が広まって、、、。
そーいえば、東の大陸にまで行ってたよな?どーしてっかなあいつら。
東の大陸に今は獣人はさほど多くはない。減らされてたからだ。各国全てではないが、結構多くの国が獣人を下に見ていた。獣人が少数派だからそんなことできたので、人間と同数とかいたら獣人支配になっていたろう。個体の能力差がありすぎるから。
しかし普段は獣人は闘争しない。ひとは普段からそういうのを無意識にしている、大なり小なり。そこをとっても獣人に不利だった。
なのであまりモフ神が広がる機会は多くはない。
が、
そういう獣人達だからこそ、獣人のよいところ、特に見た目でよいところをばっちり伸ばす神様なんか、わかるやつにはがっちりハマってしまうのだ。
比較的温厚な国では、もうまちなかで獣姿で歩いている獣人も目立つようになった。もちろん毛並みはかなり良い者たち。
自分の毛並みを自慢するための獣姿なのだから。
すこーしづつ、モフ神の効果もでてきているようだった。
西の大陸。西の国。
僅かにあった集落は、今は人の気配も無い。
武国に潜り込んでいた奴らを送り返したときに作った集落ですら、人の気配も無い。
嫌がらせを好む連中、見てみぬふりをする連中、そういうのには生きていく能力はまず無い。
人から奪う、寄生する、そうやって生きていく能力のみだ。
なので、寄生できなければ、終わる。
すべて終わったのだろう、、、
ガラガラっ、
「はらへったー!」
「おうガク、遅かったな」
「泉さん、もう食い終わったの?」
「いや注文したとこだ。」
「すみませーん、昼定食一つくださーい!」
「はいよー」
シューレの食堂は、そんちょ宅女性陣でやっているので、そんちょの家で食べていた者たちは皆ここに来る。
他の村の者たちも、結構来る。うまいからね。
外国から修行に来ている連中も、本当の目的はこの食堂だという話もある。だから修行はなんか永遠に終わらないとか?
トリミング。小動物相手ではなく人並かそれより大きな動物相手。体力を使う。腹減るのだ!。
泉さんも稽古をつけているので腹減るだろう。
で、ここの飯は超うまいので腹いっぱい食べてしまう。
でも午後遅くにはもう腹ぺこになる。
泉もガクも、何もしなくても叱るものはいない。何もしなくとも、食事できるし幾ばくかの給金も入る。
でも、できること、好きなことを使って皆が喜ぶことやためになることをしている。
武国の貴族では、そういう者は少なくない。
来るべき場所、だったのだろう、と、たまに思うこともあるガクや泉。
何年生きているのかとっくに忘れている大精霊シューレ。
何気に生きてきたけど、最近は面白く生きている。
教える者たちも多い。能力は高くない。が、やる気は、教え甲斐があるほどだ。それがこの村と、領都。それだけでも毎日結構面白いのだが、たまにイレギュラーで、泉やガクがなんかやる。それが意表をつくようなことでおもしろい。
「人間の寿命は短い。こいつらが終わるまで、ここにいてみよう」
という気にはなっている。
とりあえずの目標は、武国のすべての「料理を作る者たち」が、せめて農国並の技量を持つようにすることだ。
2−3世代かかるだろう。が、シューレにしてはあっという間かもしれない。
けど、面白い時間になるだろう。
悪意がほとんど空気にないというそこの社会集団は、精霊にとって居心地がいいのだ。
これだけ人が多いのに、と、長く生きてきたシューレは少し驚いた。この小館のみは別次元なのだろうか。
領都もかなりよいが。
フィジニとバカやっていたときも楽しかった。が、あのときは2人だけだった。街もほぼ関係なかった。
ふと、全てはここに来るために?、と沸き起こった。
まさかな。
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