第261話 後後136 華子姫


ガクが好きなことをまた始められて喜んでいる頃。



武国王都王宮。


姫様は先の遠征が初陣とされてしまっててイマイチだった。

「行っただけ」

で、初陣かよ、、舐められてるよなー、、と思っていた。


仲の良い同年代の外来の娘博子も、「楽だったし、よかったんじゃないですか?」と、最良だったじゃないですか!といった体である。

そりゃ全軍ほとんど何もせず、やったのは敗残兵狩りと山狩のみ。あとはロボット達と戦艦が活躍し、ほぼ滅ぼしただけ。


「そんじゃ、火あぶりん時に、火を付ける係りとかやればよかったじゃないですかー」博子

「そーゆーんじゃないのよ、、ほら、こう、ばっさばっさと斬り刻むとか、、」姫

やっぱこの子もおかしいよな?


遠征帰国時はそれほどでもなかったのだが、シューレ達が帰国し、その様子を聞いてから、姫の不満は沸き起こってきた。

多分、自分もなんか冒険チックなことしたかったんじゃあないかな?でも自分でもそれに気づかず、多分活躍できなかったことが不満の源泉なんだろうと思ってるとか、、。

まだ子供だからね。自分のことすらわからんよね。


とかいいつつも、小館の子達は人狼に限らず10歳くらいになれば大人顔負けの責任感ある行動をしてるけどw

まぁ周囲の影響がデカイから?

こっちゃ(姫)一番身近が博子という巨大ハンデを背負っているし。


博子が街にでてシューレの店でケーキを買ってきてくれるが、もうそれでもごまかされないくらいになっている姫。


姫は長女だけど、兄弟はそこそこいる。将軍は側室持っていない。でも兄弟は多い。夫婦仲がいいんだよね!

下に長男、次男、次女、三女がいる。


皆のんびり屋さんだ。なのでなんか、こう、姫のように焦るとか全く無い。どっちかってーと、農国に留学に行きたいなーとか、日の出国の王子はまだかなー、と、自分の可愛い弟(決めているw)にしようと思ってたり、、騎士団の小館隊の詰め所に行ってモフリまくるとかしているだけだ。


将軍の子どもたちは特に学校とか行っていない。教える者が王宮に来て教えている。

なので、学友みたいのはおらず、親戚や親しい領主の家の子たちしか子供の知り合いはいない。

友人の多寡は無意味で、信頼の深い者がいれば充分だと、将軍達は知っているからだ。

群れを組むほどカスでもないのだ。一騎当千くらいな力量はある。


というか、武国で群れを組むような奴等は相手にされないけどね。

だから、わずかに居るマフィアどもでも数に頼るカスはいない。

一般人でさえも、群れるのは無能だからだとわかっている。


ガクも泉も、元の世界では群れに所属するのを嫌っていた。ガクの場合誘われないと言うか、孤高でたまに滑るギャグだけの子に見えていたので声を掛ける者がいなかったというか。

ガクの場合、そのおっさんギャグがここでハマったのは僥倖だったと言えよう。



さて、華子(姫)は、仕方がないので博子と一緒に道場に行った。暇な時は「とりあえず道場」なのだ、この国では。

漫才道場ではない。漫才コンビ華子と博子、略してハナビロとかじゃないのだ。鼻毛びろーんとかはなみずびるーんとか、鼻広とかではない2人。

ちなみに2人ともボケだから。博子、突っ込むけどつっこみがぼけだから。だから落とせないんでダメです。



こういう場合の道場は城の外の道場だ。普段の稽古は城の中の小さな道場だけど。

街の道場には人が多かった。

皆なんか暇なのだろう。平和な証拠?だとしたらいいことだ。


城の道場では普段は博子が姫に稽古をつけている。教える技量はあまりないが、実践で覚える、が武国式w。

博子が来るまでは姫はあまり剣術をしなかった。刀と薙刀を少しやっていたくらい。


博子は力任せで好き放題に、片手だろうが両手だろうが振り回す剣が好きなので、しかも気分で左右一本づつ持って2本つかうとかも。小館にいるときに気を幾分使えるようになり、威力と速さにそれを乗せることができるようになっていた。そして城に来てから好き放題に稽古し、伸びている。だから剣のみ。

姫はそのわがままっぷりに驚き、これならおもしろいかも?と、惹かれた。


で、姫の技量は?

これから、かな?

という感じ?

まー、フィジカル無いからなー。博子みたいに身軽に飛んだり跳ねたりで相手を翻弄して2つの剣を猛スピードで振り回し、、相手を追い込んでいくとかもムリだろうし。


でも今のところ博子と稽古していれば楽しいと思うので、いいのだ。

街の道場での稽古は、姫にとってはあまり楽しくはないけど、博子の活躍をみるのがおもしろいんでここに来る姫。


博子が街の男たち3人位を相手にしているのをみるのが最も面白とおもう姫。

なんか、子供が、お面ライダーとブルトラマンとか見てて敵が打撃を受けるたびに「やった!」と喜ぶのと似ている感じ。

敵が木剣でぽこぽこやられたり、蹴られたり、柄でどづかれたりするたびに、きゃ♪!とか喜ぶ姫。


博子が男だったら惚れられていたかもね?


その後ケーキ屋に行って茶をして、街を散策という名目でなんか喧嘩とかいちゃもんつけているやつとか探し出し、博子に成敗させて喜ぶ姫。

その時の終わったときの博子のセリフが最近定着してて、「セイバイ!!」と剣を掲げる、ってもんだった。

一度なにげにやったら姫が大変よろこんだので、それ以降やっている。


ある時は決闘に乱入させて両方をぼこぼこにさせたこともある。両方とも武技にいい家系の跡継ぎだったんで、親どもが「おなご1人に、しかも2人してぼこぼこにされた、とかとても言えない。まぁ、決闘で死ななかっただけいいか」と。

文句を言いたがる者は、2人をそそのかして決闘に持ち込んだ第三の男だけだったけど、結局2人がねらっていた女性に第3が振らてたんでどーでもよくなっていた。




子供がきかないとき、王都では最近あたらしいセリフが流行っている

「早く寝なきゃ、セイバイが来るよ!」

「好き嫌いしないで全部お食べ!セイバイされるよ!」


なまはげ並の効果があるそうだ。

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