第191話 後後66 謁見依頼


宿に戻ると、一階の食堂に領主様がいるのを確認し、宿の入り口のところで、護衛して来てくれた者達に礼をいい別れ、領主様のところに戻った。


領主様に

「おまたせしてすみません、想像を越えるモノになったんで、、危ないんで先に部屋を取ります。」

と先に言ってから、銀貨何枚かを持って帳場に行く。


小部屋2つと大部屋1つ取った。

それ以外の部屋の種類はなかったので。

で、二階に上がり、とりあえず皆で大部屋に入る。


俺は説明を始める。

領主様の部屋には、領主様と野上。も一つの小部屋には俺と人狼1人。

大部屋には人狼3人。という部屋分け。

領主様にふさわしい宿のほうがいいでしょうけど、今はまだ身分明かしていないので、この程度が良いでしょう。いくらでも偽装の応用が利きます。


で、領主様から預かった宝石でこれだけのカネになりました。

先程の宿代、飯代から見て、銀貨の価値は、武国や農国などとさほど変わらないようです。

なので、

これだけあれば、東武領軍全員の当分の宿代、飯代、行動代になると思われます。


また、先程は時間掛けられなかったので、この街がどのような立場なのか?この国がなんなのか?などの調査はできませんでした。

その宝石を売った装飾品店では、私は商隊に属してる者を装いました。

ちなみに、

あの翡翠はこの国にはまだ来ていないようです。武国の名は知っていました。海の向こうにあることも知っていました。翡翠に関しては、あのクラスであれば問題なく売れるそうです。

以上です、

と、説明を終えた。


「それじゃ、日が暮れるまでまだ時間がある。外に出て、いろいろ見てみよう。」領主様



宿を出て、すぐに路地に入ろうとした領主様を止める俺。(先に酒蔵がある:後後65話)

「日が暮れてからにしましょうよ領主様?」

「お、おう、、そうだったな、、、」と、名残惜しそうに路地の奥を見るおっさん、、

多分、将軍でも同様の行動を取るんじゃないかな?とおもった。


それから、茶屋に入ったり、市場で買い物したりして、その時にいろいろ聞いた。

外国からの旅行者だと言うと、皆珍しがっていろいろ教えてくれた。服装が違うからわかりやすいのも、この場合うまくいっている。あと、俺らは日本人と同じ黒髪黒目で肌色。こちらは多人種。南国系多目かな?。

外人が少ないのに、警戒しないんだなー、、いい感じだな。豊かな国なのかな?


びっくりしたのは、ここが王都だということ。

中央通りを、装飾品屋から更に進むとそのうち王宮が見てくるという。

街が安全そうだと褒めると、この街は犯罪などほとんどない、と皆自慢していた。

市場には食い物はあふれ、価格も安い。

豊作続きらしい。農業のやりかたもうまいのだろう。土が疲弊しないようにやっているのだろうと思う。


この国の名は、ドラゴニアw。もともと、竜の谷の国、と言ったようだ。だが、竜はもう王族のみになってしまい、谷は遺跡として残っているだけだそうだ。


気になる西の国だが、占領されたことはあるが、一時期のみで、すぐに王族が追い出したそうな。竜人なので竜に変態してすぐ駐留軍の半数を焼き払ったら、剣すら捨てて走って逃げていったとのこと。

それが20年前。あとは国境閉鎖したのでしらない、と。

ただ、いつの間にか西の国が絶滅してた、あれには国中びっくりだった、と。



晩メシを良さそうな食堂で食べ、そのまま酒蔵に行く。飯は、ブッチャーまさおのが美味かったかな?

野上達は喜び(酒)の期待で尻尾が出そうになるのを抑えるので大変そうだ。


農国のあの酒蔵と違って、ここには席があった。

肴も出してくれる。

飲み屋になってるんだな?。よいことだ♪


酒と肴を注文した。

酒はすぐ来た。冷を注文したからね。酒蔵で燗は冬以外は避けるほうがいいだろ、お前んトコんの酒、燗しなければ飲めねーぞ、って言っているようなもんだからなー。


「領主様、どうしますか?王宮に訪問しますか?」

「そのほうが、部隊を客人として迎えてもらえるよな、、」

「竜だから、大丈夫だと思いますが、、王様の情報が手に入らなかったんですよね」

「王宮から外に出てこないんだろうなぁ、、」

「もしくは、出てきていてもお忍びで」

むーん、、、と悩む領主様


「将軍に?」

「いや、小国と接触あった場合、うまくやっとけ、って言われててなぁ、、」

らしいっちゃーらしいなぁ、、


「領主様、ここの国と交易するつもりありますか?」俺

「ああ、できたらいいな。一応将軍様の許可いるが、拒否はされないだろう」

「・・・大きめの翡翠かなにか、まだ持っていますか?」


「ああ、あるが、、献上か?」

「はい、、今日行った装飾品屋に仲介してもらえれば、、」

「そうだな、直接行くよりはよいか、、」

「では、明日行ってみましょうか」

「うむ、、。あと、野上、泉に一日待ってろと伝えてくれ。あと剣を預かってくれている者も、泉のところに連れていけ。あとからの道案内になるだろう。」

「はっつ!」

シュッ!と消えるように出ていった。


酒飲んでるのに、普段と変わらんのだなぁ、、

つか、部下にさせてほしかった、野上、やっぱ酔ってるんだなー


それから野上が戻ってくるまで飲んで待っていた。半刻くらいで戻ってきたのは驚いたが、酒を飲みたい一心での爆走だったんだろうなぁ、、

それから小一時間程度飲ませてから宿に戻った。


ーー


翌朝

朝飯も、やはり美味かった。

料理の仕方も上手いが、やはり素材が違う様子。


「武国の食べ物は元の世界の素材より何倍も美味いんですが、ここの、特に野菜と米が驚くほど美味いですね!」俺

「ああ、輸入したいくらいだわ」領主様

「土地のせいですかねぇ、、それとも土を作るのが上手いのか、、」

「それも、いずれ調査したいな」

「はい」


満足するほど食い、茶を飲んで少々腹を休めてから、宿を出た。

行くところは昨日の宝飾店。

行くメンバーは、領主様、俺、野上。ほかの者達は留守番。



昨日は宝石屋を探していたので周囲を見てなかった。

歩きながら改めて周囲を見ると、かなり先になるが、王城のようなものが見えた。

少々小さいかな。

国の規模に合わせて、なのかな。


ほどなく店に着いた。

カランカラン

「いらっしゃいませ!おや!昨日のお客様!いらっしゃいませ!!」

「うん、今日は俺の主を紹介に来た。少々頼みごとがある、何悪いことではない、逆だ」俺

「・・では、二階にどうぞ、、」

少しビビりながら案内する店主?


二階に昇る時に、店員に茶の用意を言いつける店主。


昨日と同じ部屋に入るとソファを進められ、腰を下ろす。

ほどなく茶が来る。


店員が去ると、

「さて、こちらが我があるじ様だ。ある国の大貴族様。こちらの国と交易を望んでいる。で、献上品を献上し、交易の許可を得たい。その仲介をしてほしい。」

店主が何か言おうとするのを遮り、

「で、これが、その献上品だ」


と、領主様から預かった翡翠の原石、子供のこぶし大。

昨日の全てを合わせた3倍以上ある。


目を見開いて固まっていたが、ほどなくぎこちなくルーペを取り出し、見始める。

・・・・・

「質は、、良いですね、、、武国は、武国の翡翠は、みなこれほどの質の良さなのでしょうか?」店主

俺は知らないので、領主様を見る。


「まぁ、そんなものじゃろう。今回はそのつもりではなかったので、あまり質は気にしないで持ってきた」

・・・・・・・


まぁ、、戦費の足しに、程度のつもりだったんだろうし、、、


「わかりました、、、当方も宮殿には出入りしておりますので、2−3日いただければ、、、ただ、これまであまり外国との付き合いはしてこなかったので、返事はどうなるか全くわかりません。」

正直な店主?


「うむ、、できるだけ宜しく頼む。」領主様

「旨く行けば、今後も取引継続させて貰おう」俺


「精一杯努力します」店主


で、一応、今は一般の宿に泊まっているが、良いところはあるか?と訊くと、

「では、今店のものに訊きに行かせます」店主


雑談を少ししている間に、店員は戻ってきて、部屋を取ったとの事。

その店員に案内され、新たしい宿に向かう。



「豪華っすな、、」俺

「なんじゃ、、農国とかで、このようなところに泊まったのではないのか?」領主様

「いやいや、、私らは・・」

「お主らは、王直属学者と騎士だよな?」

いや、領主様の家来の立場を優先じゃなかったっけ?


「まぁ、、それでもありますが、、」

「将軍様から結構費用が出ていたはずだが?」

「え?!そうなんでしか!!」びっくらして噛んだよっ!!

「ふむ、、泉め、、結構けちんぼなのかな?」


「まぁ、普通の宿が面白かったですからねぇ、、」

「ほう、、」

「しょっちゅう明け方まで皆で飲んでw」

ほう、、

あ、泉さんしかられるなーw

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