第162話 後後37 ケーキ注文、一種の布教活動w


>「え?私は武国生まれで、この村のそばの村で生まれましたよ。国から出たこと無いですね。」


この言葉が気になった。

この村の周囲に村や街は無いと聞いているけど。

いつのこと?と訊くのはためらわれたので、、先にケーキの方をどうにかしてから、余裕有れば(気持ち的にw)、フィジ二の弟子にかかずらわろう。



一般家。

「ここすか?」

「だろうよ、名前も合っている」

コッコッ

ドアをノックする


「はいただいまー!」と、男性の声。

その声がしたと思ったら、扉が開かれる。


「えーと、ここでケーキ作ってもらえると聞いて来たんですが、、」俺

その中年の男性は俺と泉さんを見て、

「ケーキのお客さんですか。どうぞお入りください。」


中は、元はお店だったのだろう。喫茶店そのままだった。でも、ショーケースの中はガランとしている、何も無い。

がっかり顔の泉さん。

そのがっかり顔を見て、気が引けたのだろうか?

「申し訳ないね、注文受けてから作るんだ、うちのケーキは」と男性


「では、注文していいですか?」

で、俺達は抹茶や紅茶のクリームのケーキでそのスポンジに少しブランデーと砂糖を入れたもの、シューも焼けるというので、同クリームをはさんだシュー、抹茶クリームはあんこと。紅茶クリームにはブランデー漬けの果物があればそのスライス一切れ、みつ豆のパフェ、などアルージのケーキ屋のケーキのようなものを頼んだ。

多分、ここでもそれらは受け入れられるだろう。


明日の午後、お茶の時間くらいにはできるだろう、ということになった。

その男性にとっては新作ばかりなので、張り切っていたようだ。



その後、宿の一階食堂で塩漬けの魚を焼いたものを肴に少し飲んで寝た。




翌朝、一階の食堂で朝飯らしい朝飯を久々?に食べ、外に出る。


「うん、ふつーの田舎町だな、、」泉さん

「ですねぇ、、なんか小館の最初の頃を思い出しますねー」俺

「なんだ、こんな感じだったのか?」

「ええ、便所と風呂と水車が広まった直後は、まぁこんな感じでしたかねー」

勿論ここにも洋式便座は普及し、水路が通り、水車が回っている。


昨日の夕方着いてから、獣人は見ていない。だからだろう、モフ神の神棚とかはまだここでは見ていない。

港町ではそこここで見たのだが、獣人そこそこいたからなぁ、、



結構回ってみたが、喫茶店みたいな食堂は無かった。もろ食堂という店だけだった。

「やっぱり、口が慣れないと厳しいのかねぇケーキ、、」泉さん

「みたいですねー、、でも和ケーキ注文したんで、今後それが広まるんじゃないですか?ケーキ食えないほどとは見えないですからね、この村。」

「そ~言われりゃそーだな。酒も結構いいの置いてあったしな。」



暇なので森に行ってみたが、魔獣どころか猛獣もいそうになかった。

「平和なのかな?」泉さん

「そうみたいですが、その代わり覇気が見えないですよね、ここのひと達」

「だなぁ、、元気ありゃいーってもんじゃないけど、なんかつまんなさそうだよな」



森への行き帰りでそこそこヒマ潰せたので、遅い昼飯食べてから、ケーキを注文した家に向かう。




「お待ちしていました!!」

満面の笑みの中年氏、、いや、表札にはへキチーノと書いてあったので、へキチーノ氏。


中に入ると、ショーケースの中にケーキ類が詰まっていた。

え?ここまで注文していないが?!

その困惑顔を見たのか、へキチーノ氏が

「いや、これらは試食用に作りました。この街の者達に試食させようと思って」


よし!がっちりだな!! 泉さんと顔を見合わせ、サムズアップ!&ニカッ!


美味いケーキと茶を堪能した。帰り際に会計しようとしたら「結構です!」と断られた。

教授いただいたのだから、と。


ヘキチーノ氏は日のいずる国に行ってケーキを習ってきたという。が、帰ってきて作ってもいまいちウケがよくない。で、そのまま今まで食堂をやりながらケーキは注文受けたときだけ作り、結局喫茶店は閉めっぱなしだったそうな。

「でも、これからケーキ屋を再出発できるでしょう!」と意気込む。


なので、食べさせてもらったお礼というか、、日干しレンガのことを言っておいた。

街?村?の者達が結構時間持て余してそうなので、すぐそばに荒れ地があるのだからそこの粘土でレンガ状にかためてそのまま干せばいい。今のこの感じなら半月ほどで中迄固まるんじゃないか?

うまく行けば村の家々の壁くらいは全部レンガにできるだろうし、そこまでやれば生産も軌道にのるだろうから、単価安いが量が出るので、村の収入としてはいんじゃないか?と。


レンガの流通量が増えれば、家屋や水路はよりよくなる。当然トイレなども更に良く作れるだろう。良いレンガになれば道に敷ける。悪いことはないのだから。よほど質の悪いものさえ作らなければ、だが。





やることやったんで、翌日の馬車でその村を出た。


ぱっかぽっこぱっかぽっこ(略


「あ、、忘れてた、、」俺

「うん?何をだ?」泉さん

「あー、あの村でのフィジニの弟子、あの人が”この近くの村出身”とか言っていたのが気になって調べようと思ってたんだけど、、あの村の近くに他の村なんか無いって話だったんですよねー」

「おう、、んじゃあれか?数百年前の村とか、ほかの世界の村とか、つー、妖精系かもしれなかった、ということか?」

「まぁ、そういう可能性もあるんじゃないかな?と思って、、」

・・・

「でも、たいして意味ないぞ?」

「・・・・・・・そりゃそーか、、、今までも妖精だとわかっても、なんらかわらんかったし、、」

「だろう?」


うーむ、、、こっちの妖精って、、、どういう位置なんなんだか、、、

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