第163話 後後38 馬車で知り合い、食通さん?


夕方遅くに宿場に付いた。

かなり距離を稼いだように思えた。他の客にも早くなってから初めての者がいるのだろう、倍走った、と驚いている声が聞こえた。


「すげーな?倍?んじゃ、2週かからずに領都に着くな!」

「そうっすね、初めての道だから実感わかないっすけど、速いってのだけはわかりましたね。」俺


南部は広い。縦断するだけで7日とか掛かってたらしい。あと、山越えで2週間。山越えすればあとはすんなり東武領に入れる。東武領は南部ほどでかくないので3−4日で領都に着くだろうと言われた。

その山越えの部分を除いて、これだけの道が整備されたのが最近。

山の部分も、新道を通している最中らしい。

なんか、すごい新道を通すという噂があるという。


トンネルかな?

できりゃそりゃすごいだろうな。福田さんとオタさんがいるから、デカイトンネル作っても強度もあるものにできるだろう。

もしかしたら、お蔵入りになっていた異世界(俺らの世界?)の技術とかを今回限定とかで出してもらったとかあるかも?あの福田さんなら。

うちの領で温泉が出るから火山だろうけど、、死火山だろうけど、、、ここいら辺の山は平気かな?



「ここも小さいなぁ、、」泉さん

村のことである

「まぁ、街道も整ったばかりだし、これから伸びるんじゃないですか?海産物とかが流通しやすくなるから。あと、あの山越えの新道ができれば確実の伸びますよ」俺

「そうだな」


ケーキ屋だな。もうアレだ、病みついてしまってるんだなー、、これは早く帰らねば、、つか大きい街有れば、、、とも限らないかぁ、、、昨日の街でもあれだったからなぁ、、フィジニの弟子のケーキでさえ売れないんだから、、困った地域なこって、、、


(いや、日本だってケーキが入った頃はそんなもんだったんだって、、不二家だって高級品だったんだし、、日本にケーキがやっと根付いたのはつい最近ここ50年位じゃないか?)


特にコレといったところのない極普通の宿のある街、宿場町だった。


翌日早朝の馬車に乗った。

快調に飛ばす馬車。二頭立てになっている。馬車も少し大きめ。客も満載近い。

車輪には魔獣の皮が巻いてあるらしく音もうるさくない。

「これは快適だな!何より速い!」喜ぶ泉さん。

「ですなぁ、、これから南部は伸びますな!」

と、前に座る中年の少し恰幅のあるおじさん。商人かな?


「ああ、多くの海産物が内陸に入ってくるな!生け簀がありゃ刺し身もいけるかもな!」泉さん

「ですなぁ、、ああ、あの港の刺し身の味がいまでも、、、」

単なる食通の人?


「おう、、うまかったなぁ、、、毎日食っても飽きないだろうなぁ」

「ほんとうに!」

食通同盟?


「ちなみに、ケーキはどうかね?」泉さん

なんか”ちみちみぃ”とか頭につけそうだな、、


「え?ケーキですか?あの最近流行りの?」食通さん

「ああ、港町でも美味いのはそう多くはなかったが、、やはり本物は日のいずる国の者か農国の者が作ったものだな。あれはうんまい、、うん、、うまい、、、うますぎだ、、、あー、食いてぇなぁ、、、戻りたい、、、

ガク、、農国に戻るか?」

いやだめでしょ、


「次の仕事が終わったら、また行きましょう、今度はすぐに行けるんだから」

「おお!そうだったな!!うん!よし!まぁ今は我慢できるぞ!」

軍の転移門を使わせてもらえる前提を勝手にw。ダメとか言われりゃ、多分農国に移住するとか言い出しかねないからなw


「ほう、、そんなに、、、。私もいくつか、何軒かの店で試したのですが、、うーん、、、、」

悩む食通さん

「あのー、、それらの店のケーキは、あんことか使ってました?」俺

「ああ、使っていたねぇ、、」

「本物は、ほとんど武国の一般の甘味の材料は使わないですよ」

「え?それじゃああれらは?」

「はい、本物がいまいち受け入れられないんで、武国人用にしたものです。なので、本物ほどうまくは、、、」

「おう、、本物の足下程度だな」泉さん言い切るw

「いや、抹茶シューとかうまかったでしょ?」俺

「ああ、、でも単純なクリームシューが一番うまいぞ?」

なにこのケーキわかっちゃっている小さい物体?


「はぁ、泉さんもとうとうケーキがわかるようになってしまったんですか、、、病みつくわけだ、、」俺

「おう!わかってるぜ!」

まぁ、器(体)のほうにケーキの味が染み付いてるほどに覚えているんだろうなぁ、、

今回のケーキバカ食い旅で、その記憶を全て思い出させてしまった、というわけかー、、


「そんなにですか、、私も農国に行ってみなければなりませんな、、」食通さん

「ガク、あそこ、おしえてやればいんじゃないか?」

うん、

「あの、農国と日のいずる国の境目に湖、塩湖があり、その農国側にブートッチという街が在ります。

そこは食通の街と呼ばれるほどです。

また、湖の逆側、日のいずる国側にプチビーレという街があります。そこは食の妖精の街で、特にフィジニというおやじがやっている食堂は絶品です。一般向けの見るからにごく普通の食堂ですが、ブートッチやプチビーレの美味いものの元祖はそのおやじからです。」

「・・・・まじ?」

食通、この情報の重要さを理解できたようである。聡明な食通なんだな?


「「うん!まじ!!」」泉さん&俺


食通おじさんは俺達の手をとり、ぶんぶん振った

「ありがとう!!すごい情報をありがとう!!家に帰ったらすぐに旅立ちの用意をして、すぐに農国に向かおう!」

「え、雪が溶けるの待つほうがいいんじゃないすか?」俺

「うーん、、街道は進めるだろう?では行くしかないな」

何この食い物のためなら命張りそうな食通?


「あ、そのブートッチですが、温泉もあります。ちなみに将軍様が3日滞在したことがあるらしく、楽しすぎて3日間笑いっぱなしだったそうです。東武商会もあるんで、商品を武国に送るなら便利ですよ。」

「おおお!!素晴らしいなっつ!!!なんてこった!!儂の商売も一緒にできるとは!!これは本気でかからねばつっつ!!!」


(すげーな?燃えすぎじゃないか?)

(泉さんも傍からみればこんなもんですよ?)

(え?そーなの?へぇ?俺が?これ?、、、自重しようかな?)

(いや、見た目子供なんで大丈夫ですよ)

(あ、そか、それは、、まぁ、、いいのかな?いいんだろうな?うん、、)


食通さんは、なんか商売のことを考えているらしく、アレがどー、これがどー、とかぶつぶつ言っていた。


「昼飯でーす!」御者

小さな宿場町に着いた。


食堂が2軒。

「どっち行きます?」俺

うーん、、

「あ、そばならそっちが美味いです。飯ならこっちですね」

と食通さんが教えてくれた

「そばと飯、どっちですか?」俺

「昼はそばだな、」

で、おすすめされた店に入る。

「私は定食食べたいので向こうに行きます」と食通さん


まずますの蕎麦屋だった。でも魚の甘露煮が美味かった!。自家製だという。

泉さん、3ヒキほど包んでもらっていた。

「夜飲む時の肴だ♪」泉さん


夕方というか夜に入った頃、やっと街に着いた。

ここから山に向かうことになる。

次は山の麓、その次は3合目くらいで、それから5合目より少し上くらいにある峠の宿、で、向こう側お5合目、麓、となる。山だけ5泊6日かかる。しかも雨が降れば危険なので動かない。

それでも早くなったのだ、平地分。今までは平地でここまで7日〜10日だったそうだ。新道で道がまっすぐになり距離が半減し、道自体も良くなったので飛ばせるのですごく早くなった。


なので、今何かやってる「山を危なく無く越す新道」に皆期待しているという。

馬車の中で食通さんから聞いたその話は、最初の宿の親父の話をより詳しくしたものだった。

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