第122話 後−49 食通とかセイレーンとか


「妖精ってさ、こう、手のひらサイズくらいになれないの?」俺

「「なぜ?」」フィジニ、スクレ

「いや、、だって、、、、そうだ、ケーキとか一つですげー腹いっぱいじゃん!」

・・・・・

「それって、一個しか食べられないってことだよな?」フィジニ

「一個っきりで満足して、どーすんの?」スクレ

しまったそっちかあ!!


「んじゃでかくなれば?」

「こう、指先でつまんで食うの?旨いかどーかもわからんよね?」

「ものにはほどほどってものがあるのよ?丁度いいってのがあるの」

あ、スクレが俺を説教している?そーいえば、数百歳だったか?だてに、、、


「「こいつ(コノ子)妖精の素質無ぇな(無いわね)」」

いらねぇよっつ!!!


「妖精と食通の違いがわからない件」俺


「あれだろ?食べ物は、なんでも美味しく食える資質を持っている幸せな者が食通だろ?」フィジニ

旨いこと言うなぁ、、


「あ、音楽、、歌が好きな妖精っているんじゃないの?セイレーンとか、、」俺。

「うーん、ありゃ、魔物とかじゃないのか?」フィジニ

「え?妖精よ。会ったことあるもん、海のものを食べに行った時、会ったわよ。あの子ケーキとか、美味しいけど、それだけみたい。歌に入れ込んでて、話はそればっかだったわ」スクレ

うん、話まったく合わなかったろーよ


「んじゃ、呼び寄せて、沈没させるって?」泉さん

「あれは、セイレーンって岩場の上で唄うでしょう?海の中じゃ歌えないし、、で、美し唄声に、阿呆な船乗りが呆けて近づく、、セイレーンが岩場の上ってことは、岩礁地帯でしょう?座礁するのは当然よね?」

・・・・

自業自得かよ、、で、セイレーンのせいにされちゃ、たまらんよなぁ、、、

「セイレーン、怒ってたわよ。阿呆のマヌケな行いが、なぜ私のせいになるのよっつ!!!って。」

そりゃそーだ。


「その、唄声にほうけないようになる手立てとか、あるの?」俺

「あ、あなたはだいじょうぶ。」

「そのこころは?」

「あげた髪留め持っててね」

ほう、、なるほど、、


「こっから南下して海ルートで帰るなら、持ってたほうが安全よ」

いるんかいセイレーン、、


「うん、そーする予定だった、ありがとう、助かったわ、、、」

「いえいえ、こっちもおかげて毎日最高だから♪!!」


「で、セイレーンと会った時、なんか旨いものあったのか?」泉さん

「海のものって、生で食べられるものが多いのよねー、、私はちょっとだめだったかなー、、」

刺し身がいいってことっすか、、


「鍋とか食った?」泉さん

「あ、美味しかった!!いろいろぶちこんだ鍋、ありゃ美味しかったわーー、、また食べたいかな、、」

ほう、スクレをしてそうまで言わしめるとか、、なかなかな鍋でござるな!!


「所謂磯鍋だな。」泉さん

「なにそれ?」俺

「漁師が、あるものをぶちこむ鍋料理だ。だから下手なやつがやると闇鍋みたいになる」

・・・・・・・


「俺も、海には出たこと無いからなぁ、、」フィジニ

「うーん、、食材として楽しむんだったら、この塩湖のほうがいいんじゃないかなぁ、、種類なら海のほうが多いけど、、ここの魚はきめ細かいからなぁ、、」

「海は違うのか?」

「ああ、大味というか、、目が荒い感じというか、、大雑把というか、、」

「ああ、なんとなくわかる、、」俺

実は俺も渓流の魚のほうがよほど好き。



なんだかんだで話題はあっちにこっちに、でも話は尽きず、本日もフィジニは”閉店”の看板を掛けたまま。

夜、スクレの仕事の時間になって、皆解散した。


ちなみにご夫婦は知らないことばかりだったので完全に聞きにまわって、目を輝かせて皆の話を聞いていた。いい土産話に成るだろう。

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