第92話 後−19 ダッシュビール  人気の人狼の宿


宿の獣人は変態し狼姿のまま仕事をしはじめた。勿論エプロンして頭にバンダナ。

食事は火を通したものを教えたので、メニュー数はまだ少ないがまともなのがいくつかできた。

風呂は狭くなるが、浴槽の中を仕切って、湯釜近くのは普通の熱さ45度くらい?、湯釜から遠い方を水で薄めてごくぬるい湯、人肌程度のにした。


で、そのまま放置しても誰もそれを知らないので、表に看板出して告知。

”食事メニュー新しくなりました!武国メニューもできました!”

”小館モフ神式トリミングでモフった店員になりました!”

”お風呂、熱い湯、用意しました!”


内容的には大したこと書いていないんだが、、

「・・なんだ?この、武国とか小館とかわざわざ書いてあるのは?」泉さん

「ええ、武国王都は獣人とかモフラーにとっては憧れの場所だし、

小館を知る者にとって、小館は、、なんつーか、、、すごい?、、だし、」


イマイチ意味がアレな説明だが、なんか通じたのがいやかな?


「うちの国、いまそんな感じな評判なんすかね?」俺

「うむ、、強さ一辺倒から、、かなあり、、おまえ化しているよな?」

・・・・


この場合「失礼な!」でいいのであろうか?

いや、そ~言うと、俺自身がアレ極まりないような感じになるのか?


まぁ、どーでもいいやw


「でも、武国の食事って和食でしょ?こっちの人ってどうなんすかね?こっちの食い物は俺らにはすごく旨いんだけど、、」俺

「どーだろ?やってみりゃわかるだろ?」

まーそーだけど、無駄にいきあたりばったりも、、自分がやるわけじゃないからかな?この人、、



で、食堂の隅でほぼ一日中見ていた。

というか、見ていたら一日が終わってたw


いやー、

「おもしれぇなー♪」泉さん


「うむ、たしかのおもしろかったどすこい♪」俺


この程度の街でも、武国食材は結構容易に手に入った。味噌とか醤油とか高野豆腐とか。あとは普通に乾燥わかめや干し椎茸、魚の干物、などから普通の野菜など使い、煮込み、魚の干物の焼き魚。

「これだけ売っているんだから、皆よく食うんだろ?」って容易にメニューを決めたんだが、、、


「なにこれ?泥スープ?なんかくせーな?飲んでみろ?まじ?コレ飲むの?・・ずずず、、、うんーー、、悪くはないんだが、、、え?健康にすごくいいの?・・ふーん、、、、ずずずずずずずずず〜ーーー」

「煮物?野菜のスープじゃないの?ふーん?スープじゃなく具を食うんだ?、、、しょっぱいね、、、飯と一緒に食うんだって?もぐもぐもぐ、、まあ、、しょっぱさは消えるけど、、、」

「これなに?きのこの一種?え?トーフ??大豆から作ってるって?へぇ、、お、薄味でいいね、、まぁ、、これなら、うまいかも?」

「うー、、なんか腹が重い、、え?コメだから?コメ食うとこんなに腹にたまるのかよ、、、こんなんならいちんち一食でいーんじゃねーの?」

「あ、この干物の魚、うまいね、、塩味が海みたいないい香り、、、だがしかし、食いにくい、、、」



などなど、、ほとんどの客が和食を知らなかった。


あとで食材を買った店に行って聞いてみると

「ああ、武国から移住して来た者達だけだね、これらを買って行くのは」

だとよ、、、



「そーいえば、、泉さんの時代にはまだ西洋の料理は日本に入ってきて居なかったでしょうけど、俺んときはもうかなり入っていて、日常的にはどっちかというと西洋料理が主体になっているくらいでしたよ。

日本に西洋料理があっという間に広がったのに、和食が他国に広まるのはほぼ無いと言っていいほどの少なさ。日本人がその国にいなければ、ほぼ広まる可能性は無い、ってほどに、特に気にされなかったですね。自宅で和食を作るどほまでに入れ込む者って、ほぼいなかったんじゃないかな?逆に日本人の料理を作れるものほぼ全員がなんらかの西洋料理を作れる。」


ほー、、そんなか、、と泉さん。

「んじゃ、あとで農国の料理を覚えてもらわんとなぁ」



これが武国、特に東武領であったら話は簡単だった。村に頼って、風呂を拡大して人々がそそるものにし、料理はそんちょの女性軍にお願いして料理人に仕込み、村で手の空いている者1−2人をココに手伝いに入れれば、ほぼこの宿も少しは人気でるくらいになるだろう。


そう考えたところ、自分がかなり村の人々に頼っていたのかがよくわかった。

というか、村が、みんながそろってそれなりに機能しているんだなぁ、、ということが。


なので、

「おまえら、誰か他に頼れる人(狼)いないの?}と訊いてみる。

・・・・???

「いや、手伝ってもらったり、アイデア出してもらったり、つてを紹介してもらえたり、とか、頼れる人のことだよ」

「・・・うーん、、、北の、、おぼっちゃま?」

誰ソレ?


「おまえら、北出身なのか?」泉さん

「「はい!北から来た!なんちゃって!!」」

北だけにさぶいよなー、、、、とかつぶやく泉


北の国は農国からの分離で、本当は王様ではなく大公家が支配している。便宜上王様って言っている。わかりやすいからだろう。農国も別に気にしていないからいいのだ。

大本は農国の最強実戦部隊領だったのだが、農国を戦争に巻き込まないために北を独立国家とし、戦争・戦闘する場合は北のみでおこなう。もともと最強がそこだけだったので問題ない。

今は農国も国内での魔獣などに軍が必要なのでそれなりに持っている。が、やはり北の方が強い。だから武国とも競り合えた。


その大公家の次期頭領がおぼちゃまと言われている。

彼ら2匹はそのおぼっちゃまと知り合いらしい。


と、泉は”一応”推察した。「こいつらおマヌケなので、”どこの”おぼっちゃまのことを指しているのかわかったもんじゃない」からだ。



ちなみに、町の名の”・・・・ビール”ってのはお酒のビールではない。街、みたいなものだ。国よりちいさい街みたいなものに使われる。元の世界でもインドによく・・・ビールとかあったはず、、、?

だからエールとかビールとか期待されても無いよ泉さん?

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