第35話 中−1 家


「ある程度出来上がりました。一緒に確認したいのでよろしくお願いします。」

と王都の作曲家さんから王都の小館隊を通して連絡があった。

なんか、いま武国では長距離連絡は伝書鳥人がよく使われているらしい。

獣人の鳥族が、手紙を定期的に運ぶようになったとのこと。なので悪天候の時は休止。

2日に一度、各地の領都と王都を繋いでいるという。

こういった情報を、各地への出張が多い熊チームの者たちが運んでくる。


鳥族ってこの国にいたのかー

何か忘れている気がするが、まぁいいか


領都から小館には行き来する者が多いので、誰かしらが運ぶ。領主様一行でさえ使うのが武国流。

泉さんが小館に来るときも、ギルド(組合連合)にできた通信部に立ち寄って「なんかあるか?小館まで」と聞くとのこと。

皆働き者だね!


自分が手紙貰わなきゃ、そういうことに興味一切なかったね♪



で、どうしょう?俺行く?一人で?王都まで?


やってみました一人旅♪

やってみたかったよ一人旅♪


「おまえ危険。確かに駅馬車なんか、御者も他の客の大半も武芸達者ばかりだろう、盗賊もいない、出ても猛獣か魔獣くらいだ、彼らが余裕で倒すだろう。が、お前は多分、、悪いやつに騙されるから。そういった危険が、、、なぁ?」泉

と。他の皆も同じようなことを言った。

失礼な!失礼かな?失礼だったら良いな?事実だったらいやかな? やばいかな? まずいよなぁ、、

武国は国境を開いているので、他国者も入ってくる。そういった者たちの中に特にやばいのがたまにいる、とのこと。 まぁ攻国とかあったしなぁ

この、最初に着いた村が、いい人ばかりの村だからそんなこと考えもしていなかったなぁ、、とも思った。

「今更ながらに、ツイていたんだなぁ、、」


ということで、太狼がおともに、と決まった。なぜ小学生が?いや、もう中学生1−2年か、、、

「おまえよりしっかりしているからだろ?」と泉さん

「ガク先生、太狼の言うことをよく聞いてくださいね」と、ほくそ笑みながらのそんちょ、、

クッ、、、

「まぁ、だいじょうぶじゃろ、、」と領主様


「「では行ってきます!!」」


「おそいね、、、、」

「そりゃ、領主様の馬車並には、、、」

村の荷馬車、ではなく、何かのために、と、村用にも箱馬車を作っておいた。一頭立ての軽量馬車。ウチの村がメーカーだからね。

それでも普通の馬車をどんどん追い越していく。

昼過ぎには領都入り口の街道を通り過ぎ、王都方面に向かった2つ目の小さな町で日が暮れた。

「寝ずにいけますよ?」と御者もやってくれている太狼は言ってくれたが、子供にそこまでさせられないよねー。成長を妨げたくない。

宿に泊まる。

ふろに行って、夕食を太狼に腹いっぱい食わせ、早目に寝る。


翌朝目が覚めたらタロウがいない。裏庭で剣を振っていた。偉いなー、変態すりゃスゲー強いのに、人間形態でも剣の鍛錬している。

だから太狼はリーダーなんだなぁ、、

皆が俺にタロウを付けたのも、なんか、わかる気が、、、


朝飯を食べてすぐ出立。


なんか新鮮でいいなぁ、、、冒険者とかって、こんな感じなのかなぁ、

(注:自家用馬車を持っている冒険者はいません。というか、この世界に冒険者いるのか不明)


なーんも問題なく、王都の近くの街で日が暮れた。

ちょい大きめの街。

繁華街があるので、少々治安がどうかな?とも思ったが、何事も無く風呂屋から宿に戻り下の食堂で晩飯。

昨日のところのほうがうまかったなー、と思ってたら、太狼もそうらしく、昨日より食べない。この正直者。


あとから、何かの時に泉さんが言っていたことを思い出す。王都近郊はそんなもんで、離れると美味くなる。中途半端に大きい街が駄目ってことなのかなぁ、、などと。


昼前には東武領王都邸に到着。

作曲家さんに使いを出してもらったら、午後にでも、との返事を貰ってきてくれた。


太狼と一緒に街の見物がてら歩いて行く。


前回の、子どもたちの王都訪問は大騒ぎだったんで、子どもたちはろくに見物もできなかった。

太狼は二階建て以上が多い町並みや、大きなガラスのショーウインドーなどに興味津々。

人通りが多すぎるのが、ちょっと嫌みたいだけど。しかも早足の者が多いので。

「都会になればなるほど、なんか皆急いでいるよなー」俺

「ほんとですねぇ」



音楽は、結局、クラシックはもう結構あった。

先に来ていた外来達がもたらしたとのこと。まぁ前回作曲家さんが言っていたことだ。

蓄音機もあり、学が言ったもの、曲として演奏したものを聞かせてくれた。

「おお!蓄音機!!!」

「さすがご存知で」

長い時間は入れられないのが玉に瑕。でも久々にきいた交響曲など、嬉しかった。

学の伝えたもの(主にアニソン)は、管弦楽として演奏されていた。

「こっちのほうが美しくなったでしょう?」

確かに。

電気楽器が無いからなぁ、、

ドラムスの部分もそれなりに再現されており、迫力を出していた。


「今度、演奏会ありますよ、新曲披露なので、これらの曲も演ります。」

席は確保しているからとチケットを10枚くれた。


作り上げてくれた曲に満足し文句なしだったので、礼を言って帰る。

途中、タロウに

「こっち、いい匂いがします!!」

と連れられ、市場方面。


コロッケみたいな衣が着いている揚げ物もあった。

日本から来た者がもたらしたのだろうか?

からあげみたいな衣がついたのは、名前もそのまま「カラアゲ」で売っていた。

村に帰ったら、皆につくってあげよう、子供はカラアゲが好きなのだ。

ハンバーグも好きだよな、、、できるよな。ソースが問題だが、醤油系があるのできのこの醤油炒め乗せにすれば。

カレーはなぁ、、香辛料は皆結構駄目だからな。作れないだろうしw


ああ、早く帰りたいなー、とか思っていた。

ああなんだ、もうあの村が俺の家なんだ。

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