第6話 亀をいぢめたらいかんよ?


1ヶ月も経った頃、精製されている鉄と真鍮がそれぞれ荷車3台分やってきた。


どうしよう?試しにやってみるとしたら家のほうだよなぁ?熊と相談して、やっぱ家の方を先にやってみて、改良型を馬車の方にってことになった。


腕の太さくらいの真鍮のパイプ、手作りだから肉厚は薄くはならない、厚みにばらつき出るからねぇ、、。

エルボー(曲がり)部分は場所に合わせて、直管を徐々に熱してゆっくり曲げて現場に合わせる。つなぎは、内パイプの外径を内径とした一回り太いパイプを噛ます。隙間には膠でとりあえず。


家用の釜は、鉄がまのフタ部分からパイプを伸ばすとしていたが、今回は馬車用の試作ということもあって、移動可能な箱型釜にしてみた。出力小さいけどね。釜の部分は30センチ径の寸胴くらい。下には鉄製の薪を炊く場所。勿論煙突は上に直管。蒸気管は土間から上げ底床の下を往復4周して釜に帰る。エルボー部分には栓を付けた。メンテナンス用水抜きだ。使用時は木の栓をたたき込んでおく。そのうちネジも教えたいものだ。旋盤つくれないと無理かな?水車動力で作れないかな?そのうちなー。


なんだかんだで、パイプ制作のめどが立ってから、プラス10日以上かかった。上げ底床の下にパイプじゃ、熱のムダが多いつーんで、床の上にパイプを這わして、その上に床板張った。格子状の床にして、その上に竹ござを引いた。熱はかなりダイレクトに、、

釜が小さいんで、ガンガン炊いても、最後の方は弱くなっているのは仕方がない。それでも煙と竹パイプに比べりゃ物凄く効率的!!!

試作品はそこそこうまく稼働した。馬車用はこれより3割位小さくしても良いんじゃないかな?という結論。


俺のうちの暖房はそのまま放置し、

すぐに馬車用に取り掛かった。

馬車の本体は、熊の部下の馬車チームがやっているので安心だ。つまり丸投げー♪


で、小型化が難しかった様子。熊は弟子達と試行錯誤しなから、成功。だいたい高さ1m,幅50cm、奥行き70cmくらいまでに収まった馬車用釜が完成。うちのパイプに装着して試運転。一日焚きっぱなしでも問題は何も見つからんかった。領主様用なんで爆発とかあったら恐ろしいからな。圧力計あればいいが、んなモン無いんで、圧力抜きを作った。これは安全弁の重さで圧力限度を調整するようにした。単純こそ最高!!

って、日本での圧力鍋のをそのまま、ってやつだけどなーw


真鍮パイプの結合部は膠だとダメだった。水分がよくない?熊がどっかから教えてもらって、見た目半田みたいな色のやつでくっつけていた。やるなぁ熊!!


動力完成!!

小館村の動力は

1)無燃料動力=水流動力の水車小屋

2)火力動力の蒸気釜

の2つになった!


その夜はそんちょんちで皆で宴会。おれはエールで。かなり薄いんだよなー、どぶろく系エール。すっぱいのw

ほとんど熊と技術談義していたw



翌日以降は熊に丸投げで俺はおやすみ。川に命の洗濯に釣りに行く。うまくないけどw

釣れなくとものんびりするのがいいのだ。何気に結構大きい川。水田に水引いてー、各家庭に水引いてー、ってやっても川下あたりの水位変わってないんじゃね?

で、釣りしよっかなー、と思ってた場所に着くと、、、

いくつも水車が周囲1キロほどの中にどばどば回っているんで、どこに魚がいるんかわからなくなっていた、、、文明による環境破壊が激しい、、、


なので、川を遡る散歩などとしゃれてみる、探検とも言う。そそるだろう?

3時間ほどかな?川も細くなり流れもそこそこ速くなってきた。この先に行くと渓流ってやつになるのか?やまめっぽいのとかいるのかな?

などと思っていながら更に進んでいくと、子どもたちが居た。


「これこれ、そこの子どもたち、亀をいじめるでない」

「あ?なにいってんのおっさん、これのどこがいじめてんだ?」

亀をとっていただけだ。

「いやなんとなく言ってみただけ。で、食えるのか?この亀?おっさんじゃないけどな」

「・・おっさん、何も知らないんだなぁ、、食えるけどそれより町に持ってって売るんだよ。金持ちが亀飼うのが流行ってんだよ」

「へぇ?亀をねぇ?何が面白いんだ?おっさんじゃないけどな」

「・・・・・・・?どうなんだろ?お前知ってっか?」子どもたちはお互いに。

結局誰も理由知らず。


まぁ売れるんだからいいや!てな結論。

「でも、この亀、でかくなるんだよ、すっごく」

「(ははw)で、どのくらいに?」

「大人5人位の重さ」

・・・・・・・・・リッターバイク以上じゃん、、、

なにそれ亀なの?

「ただ、そんなんなるまで何十年もかかるってさー」

ほらかよ?「誰か見たことあんの?そのでっかいの」

子どもたちはお互いに顔を見合わせていたが、いないらしい。


「ふーん、まぁ、食いではあるよな?」

「「「またそこかい!!」」」

「でも、でっかいのはこういう所じゃ、いないだろ。」

「え?なんで?」

「流れが速いからでかい餌があまりない。川が細いし浅いんで隠れるところがあまりない。つまり住みにくい」

「あー、、、」

「おまえらどこの村の子だ?」

「上村(川の上の方にある村だから)」

そっか、


「川魚とか取りにくいの?」

「美味いけどなかなかいない、、」

「ならば、川のはしにいけすを作って、魚を傷つけないように捕まえて、そのいけすに放って、いっぱい育ててみたら?

どんどん卵産んで、それが孵って、育って、って増えてくから。そしたら定期的に一定量を売っていけばいい。養殖、って呼ぶんだそういうの。

小館村のそんちょに相談してみな?協力してくれるんじゃないかな?」


上村で魚の養殖を始めたとか聞いていない、なのでできる者はいないだろう。近隣村は少しでも豊かになってほしいからな。つか、ヤマメを普通に食えるようになりたい!!だめなら鮎でもいいけど、、


数日後奴ら大人と一緒に小館村に来たようで、その後そんちょになんか言われたが聴かずに、おしつけといた。どうせそんちょも養殖チームに丸投げなんだから。


んー、でっかい亀かー、やっぱあっちとはなんか違うんかーー、でもそんちょは魔法なんか無いってゆーし、ほんのちょとの違いだけなんかなぁー”まじゅう”ってのじゃないよな?

と、あまり気にするほどのことでもなかった。


顛末。それなりに時間かけて上村で鮎の養殖が成功した後、幾分経ってから、下村のほうで亀の養殖をし始めたというw食用にもなるんでいんじゃね?ということらしい。

情報の出し惜しみをしない、助け合う、ってことだけでもいい感じになってきているなー。

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