第六章 2
「このような、グループにかかったら、日本の暴力団なども、ひとたまりもありませんな」
と林の尋問を休憩してから、渡部がいった。捜査本部の部屋でのことであった。
「なんだか。我々には、想像も出来ない。飛んでもない、事件に遭遇しているような気がします」
白井が、遠くを見た。
白井だけではなかった。
捜査員の、全員が、そうした気分にさせられていたのであった。
滅多にある事件ではなかった。
「中国も、ロシアも、敗戦で、国は極端に、領土を縮小されたそうだ。変わって、無数の、新しい国が誕生して、領土の分布も大きく変わっていったらしい。沖縄も、琉球共和国として独立していった。しかも、琉球は独立早々に、早くもいろいろな地域を、自分の領土に編入して、見る間に大きな国になっていった」
と、課長がいって、大きく首を振った。
「台湾、海南島、フィリピンの三つの島、これは、金を出してかったそうですが。
領土を金で買うという例は、過去になかった訳ではありません。アラスカを、アメリカが、ロシアから買い取っている。 さらに、樺太全島と、千島列島とカムチャッカ半島、沿海州と、黒竜江をジャリンダから、オホーツクのチュミカンにまで、線を引いて、その南側を、すべて領土に編入したらしい。 北朝鮮も、領土にした。
中国の遼寧省と、山東省、吉林省、黒龍江省、河北省、山東省、江蘇省、浙江省、福建省、広東省までを、領土にしたらしい。 これだけで、日本よりも数倍大きな国になってしまった。 しかも、バックには、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツが、ついているとのことだ。 だから、どこも逆らいようがないらしいぞ。驚いた早技だ。 渤海と、黄海は、実質的に琉球共和国の版図にはいってしまったということだ」
と、ガンさんがいった。
「中国は、抵抗したくても、モンゴル、ウイグル、チベット、カザフスタン、内蒙古、旧満州国、寧夏回国、広西壮国が、各民族ごとに独立して、四方から、漢人を押さえ込んでしまっているので、どうすることも出来ない。しかも、ナンバー1、と2が、同時に狙撃されてしまった。 ロシアの、ナンバー1、2も、あっと言う
間に狙撃されて、各共和国が雨後の竹のように、独立してしまったので、アラル山脈以西の独立国以外のところだけが、ロシアの領土として残っただけらしい。シベリアは、モンゴル、ウイグル、カザフスタンといった、国々で、分け合ってしまった。チベットも、雲南省、四川省、青海省を、領土に編入してしまった。しかも、中国のレアアースが、採掘出来るのは、チベットだったんだよ。これを、チベットは、琉球国とともに握った。 甘粛省は、内蒙古と、寧夏回国が分けあった。琉球共和国は。黒竜江省、吉林省、遼寧省の一部と、北朝鮮の一部と、黒竜江を超えて、シベリアに大きく領土を取ったらしい。広西壮国は、貴州省を自領にした。だから、中国も、ロシアもいまや、小国になってしまった。北朝鮮は、時期将軍様を、狙撃され、
そのショックで、現将軍さまも、持病を悪化させて、死んでしまったらしい。アジア大陸は、劇的に大変革したということだ」
とガンさんがいったのを、さらに、補足して、課長が、
「それで、琉球共和国は、北琉球・西北琉球・本州・南西琉球・南琉球と五つになったんだよ。これを、直ぐに、米・英・仏・独・中・露と、アセアン、今回戦った、各独立国に認めさせてしまった」
「日本は?」
「勿論、認めたよ」
「千島も、樺太もか?」
「それどころが、北方四島もだ」
「え?」
「ロシアから、割譲されたということらしいな。文句があるなら。ロシアに言ってくれということらしい」
「それどころか、琉球国は、南西諸島、種子島までと、甑島列島、五島列島、壱岐、対馬を日本から買い取り、韓国から、済州島を買い取ることにして、近く決済をするというんだ。今回、日本も、韓国も何の力にもなっていないので、反論出来ないんだよ。いやなら、レアアースを売らないと、日本と、韓国に通達してきた」
「だったら、他から買えば・・・」
「無理だ。世界中のレアアースの鉱床を、琉球は、すでに、すべて、採掘権を抑えてしまっている。代替金属も直ぐには、出来ない。要求を呑む他は無いだろうな」
「琉球はそんなに、手早く仕事をしてしまったのか」
「結果からいうと、そうなる。日本は、平和ボケしてるからな」
「渤海、黄海、東シナ海、南シナ海を、見事に、琉球に取られたのか?」
「そういうことになる」
と課長がいった。
「なんという、早業なんだ」
「しかも、今回独立した、各国は、すべて、琉球を宗主国とすると、宣言をしている」
「いずれ、ロシアと、中国の核兵器を廃棄させ、二つの国を、ジワジワと倒して、琉球連邦にしていくだろうよ」
「欧米は?・・・」
「手が出せないだろう。石油と、鉄鋼、非鉄金属、レアアースを握ってしまっている。いまさら、第三次世界大戦はないだろう。世界が、許さないよ。今回の戦争に参加しようと思っていたときには、すべてが、終わっていた。欧米としては、巧くつきあっていくほかは、ないということだ。日本もだがな」
とガンさんがいった。
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