第五章 2

「日本の自衛隊の軍備は、偏っていて、戦争になったら、使い物にならない。三沢基地のジェット戦闘機は、足が短くなっていて、朝鮮半島にまでさえ往復出来ない。つまりは、使い物にならない。今のままではな。 これを改造すると、アメリカの了解を得て、世界に発表するだけで、中国は侮ってこなくなる。ロシアもね。多分、中国に呼応して、ロシアは、日本の漁船を拿捕するだろう。もう、飴玉のように舐められている。 これを、逆転するのは、大至急、戦闘機の足を伸ばすことと、アメリカから、中古の空母を買うことだ。 俺は、琉球のために、三個空母艦隊を、すでに擁している。武器商人は、金さえだして、秘密を守れば、いつでも造船してくれるよ。空母はタンカーを造っているといったら躯体段階では判らない。 進水後に部品を運び込んで、儀装と軍装をする。アフリカで、造っていたら判らない。 スエズ運河のおかげで、アフリカの西海岸は、船の数が減った。軍事衛星でも、空母か、タンカーかは、完成するまでは、判らないものだ」

 とアジア情勢を、見事に把握していた。

 アメリカの空母は、すでに、スクラップになる。

しかし、徹底的悪いわけでなく、改造・補修をしていけば、後数年は使える空母で

ある。

これを、日本が入手することは、アメリカにも、メリットがあることで、歓迎され

る提案のはずであった。

 大国を任じている、アメリカであっても、国防予算が、有り余っている訳ではない。

 出来れば、東アジアの防衛を、一部日本に肩代わりさせたい思いがあるのであった。

 東シナ海と南シナ海のシーレーンの防衛は、二個空母艦隊と、南西諸島の空軍基地化で、日米が共同で使用することで、守りは厚くなるはずであった。

 特に、琉球国が独立して、戦備を増強していることで、中国も、容易に手を出しにくくなっているはずであった。

 中国が外交戦略の、切り札にしているレアアース(希土)に関しても、日本は、中国に頼り過ぎていた。

 琉球は、チリ、ボリビアに採掘権を、キャッシュを、思い切り積み上げて確保した。

さらに、モンゴル、カザフスタにも、同じ方法を用いて確保していた。

北朝鮮にも、レアメタルの鉱脈があることは、判っていたが、中国との関係が濃密である以上、採掘権の確保は無理であった。

核、拉致の問題が、横たわっていたのでは、とても、レアメタルの話は無理で、中国との提携で、開発していくものと思われた。

 いずれにしても、IT、電気自動車、そのたの、精密機械の分野では、代替メタルの開発が急がれた。

 R1号は、そうした開発のために、研究学園都市を、琉球国の中に造っていた。

報酬も、日本では、考えられたいほど多く、研究予算も、使いたいだけ使わせた。

しかし、結果を急げと言い続けさせた。

 それと同時に、R1号は、琉球共和国として、表玄関から、訪問させ、裏のパイプを、フルに活動させた。

 北朝鮮にも、マフィアはいた。

それも、マフィアは政府中枢に深く入り込んでいた。

 世界の何所もが、入手していない、次期トップになる人物の写真も手に入れていた。

 スナイパー用の、ロシア製の、VSS消音スナイパー・ライフルを二十挺、弾丸とともに、入手していた。

特別な9ミリ×39弾を使用していた。

「いざとなったら、やるべきことはやる」

 とR1号は、二十人の特殊狙撃隊を、編成して、訓練に入らせていた。

狙撃隊を支援するレインジャー部隊は、フィリッピンで、猛訓練させていた。

「どうせなら、北と、中国の頭二人を消す。その方が早い。ロシアの二人も的にかける。 これで、東側が、どう出るかだ。 やるときは、一気に三カ国をやる。ロシア

のタタール共和国と、チェチェンマフィアには、話はとおしてある。北のお兄ちゃんの写真も手に入った。ヘリは、三部隊とも、ウイグル、モンゴル、旧満州、チベットから、飛ばせ。やる前に、カザフ、ウイグル、チベット、旧満州、広西壮国、寧夏回国で、内乱を起こさせろ。武器も、思い切り、各国に、大量に渡してやれ」

 その場所には、R3号から、R9号までの幹部が、揃っていた。

「総指揮は、R2号が、俺の傍で取る。実戦の指揮はR3号がとる。ヘリは、全機ステルス仕様にした。電磁波は思い切り撹乱する、ケータイは一切使えない。連絡は、我々が上げている通信衛星の波だけだ」

「R1号・・・英米には・・・」

「話は通さない・・・終わった後、事態を確認後、アフリカの、東海岸の幾つかの国から声明がでる。幾つ出てもいい。すでに、情報隊は三倍にして、五人の動向をチェックさせている」

「判りました。R1号が、やるといって、やらなかったことは、これまでで、一つもありません」

「西側は何も言わないだろう。言ったら、自分が消される。そのあとで、アメリカに、琉球ドル札、イギリスと、日本にも、琉球ドル札の印刷を、それぞれ、発注する。何事もなかったようにな。肖像は、尚王(しょうおう)の顔を印刷する」

「すでに、出来ていますね。絵図面が」

「ま、な。3号。頼みがある」

「なんでしょう?」

「中国の、北斗七星団の、隆黄伯を、殺さずに、拉致してくれ。 ミャンマーの基地に、地下牢を造った。腰からしたは、すべて、水だ。トコトン弱らせて、両手の十本の指を、一日に一本づつ斬り落とせ。そこに火薬を塗って、火を点ける。その後で、それを、酢酸につけろ。両足に一個づつ、十キロの鉄の玉を括りつけろ。自殺しないように、猿轡をして、粘着テープで巻け。十一目から、下着を脱がせろ。パンツもだ。そして、毒のないヘビを、大量に入れろ奴の肛門に、蛙の足を突っ込んでおけ。ヘビが肛門に入っていくはずだ。少しずつ隆の内臓を食い千切っていくはず・・・」

 聞いていたものが、思わず、青ざめた。

「舞姉さんの仇ですね・・・」

「殺した奴が判った。北斗七星は、三派に分裂した。隆黄伯が、舞姉さんの死体の中に、手榴弾と火薬を入れて、木っ端微塵に吹き飛ばした。許せるか?・・・供養をしてやりたい。警察には、逮捕出来ない。3号。頼ませてくれるか?」

「勿論です。舞さんことは、子供のころに一緒に遊びました。最後に腹のなかに爆薬を突っ込むのは、俺がやる」

「む。一つの処刑の場面に一枚の写真を撮れ。首を、北斗七星の隆黄伯派の本部に放り込め。写真とともにな。額に『明武河』の文字を、刻み込め」

「仕上げですね」

「む」

「隆黄伯派と、明武河派が、嫌でも激突しますね」

「共倒れになるだろう。中国人を使え。金でなんでもやるよ。あいつらは。Rグループの名は、絶対に出すな。琉球の名もだ」

「心得ております」

 R3号が頭を、R1号に向かって深々と下げた。

その場の者が、揃って頭を下げた。

「ところで、中国でレアアースが取れるといっても、その場所は、チベットなんだよ」

「え?・・・」

 全員が驚いた。

「すでに、チベットは独立しました」

「そこだ。必ず、奪え返しに来る。4号、5号、チベットの武器・兵器を最新のものにして、陣地を構築しろ。トーチカを、幾つも構築して、塹壕で結べ。二百三ミリの自走砲を後方から撃てるようにしろ。制空権を奪われたいために、ミャンマー、ベトナムの飛行場にジェット戦闘機をおき、チベットには、ジェットヘリを置け。チベットを攻めはじめたら、構わん、北京。石家荘、武漢、重慶、南京、上海と大きな都市を爆撃しろ。三渓ダムをはかいしろ。沿岸部は、空母から、発進させる。カザフを絶対に誘って、ウイグルと共に、青海省、甘粛省、シャンシー省。四川省、河北省、河南省と、各地から押しまくれ。四方八方から、攻めればば音を上げる。 ロシアに対しては、タタール共和国、チェチェン共和国が、動く。北海道から。沿海州、樺太、千島を取って、シベリアに入る。この時代で、核をつかったら、世界全部を相手にすることになってしまう。同時に、アフガン、イラン、イラク、トルコをなだれ込ませる。仲間がいるよ。その間に、二人の命(タマ)を奪る。中国も、北も同じだ。 遠慮をするな。この騒動の間でなら、取れるだろ。タマを取った方の勝だ」

「そうか。レアアースはチベットだったのか・・・北京を、蟻一匹這い出だせないくらいに、猛爆してください」

「そうなると、米英が出てくるよ。心配しなくても、彼らだって、レアアースが欲しかろう。チベットのものだ」

「チベットの宗主国は、琉球国です」

「という構図になってくるということだ。五人のタマを取るだけだ」

 Rグールプは、レジスタンスの、イニシャルの「R」でもあったが、琉球の「R」でもあった。

 琉球共和国の独立の、資金と、武器、兵器をストックするために、あらゆる、仕事をやってきた。

 グループの中核をなす人材は、琉球の者たちであった。

 仕事は、戦争、紛争の「傭兵」「警備会社」から、武器、兵器の仲介、兵士を集めることから、素人の人間を、兵士に訓練していくこと、情報を得ること、敵地の後方攪乱、重要人物の狙撃や、拉致、あるいは、拉致された人物の救出、敵の基地の破壊、民衆の煽動、宣伝、物資の輸送、配布、ドラッグの売買、と合法、非合法と関係なく、仕事をしてきた。

 正規軍がやれない攻撃などもやってきた。

 すべて、安い仕事ではない。

人脈がなければ出来る仕事ではなかった。

 注文は、殆どが、大国から、極秘できた。

 すべて、前金で半額を貰った。

武器、兵器の供給は、注文の国が提供した。

そのときの仕事で、使う武器、兵器が違うからであった。

提供された武器、兵器を、返還する必要はなかった。

 そのために、武器、兵器、弾丸は、想像以上に、手元に残っていった。

 米、英の首都には、多国籍企業の商事部門の連絡事務所として、基地を造ってあった。

 仏、独、伊など欧州にも造ってあった。露、ポーランドなどにも造ってあったし、インド、パキスタン、アフガニスタン、イラン、イラク、オマーン、イエメン、ソマリアにも、密かに、連絡所が造ってあった。

 中国、韓国、北朝鮮、モンゴル、中国東北部、ウイグル、チベット、カザフスタン、ウクライナ、トルコにも人を派遣してあった。

 Rグループは、領土のない国家規模の組織になっていた。

 すべての出来事は、R1号に報告されるようになっていたが、R1号の存在は、依前として、秘密であった。

Rグループの存在自体が、秘密の組織であったから、情報関係者以外が知っていることはなかった。

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