第四章 3

モンゴルの土地を、R3号、R4号、R5号を派遣して、大量に買わせた。地下資源の掘削権つきであった。

 直ぐに農耕機器と、鉱山機器を送った。

重機に見せかけて、戦車、装甲車、自走砲を、部品で送った。それらを、巨大な、蒲鉾型の格納庫の中で組み立てた。

トラックや、ハンビー、も大量に送った。

フィリピンの島にも、空母艦隊を一個艦隊、回送してあった。

 ミャンマーの山岳地帯にも、基地を造っていた。

 R1号は、ミャンマーの軍事政権にも、強いコネを持っていた。

 世界の戦争の実体は、正規軍半分、傭兵、警備会社という、エージェントが、半分なのである。

 Rグループは、警備会社を、幾つも持っていた。

社員と言う名の兵士は、あらゆる人種、国籍の者が入っていた。

 Rグループは、RR、RRR、4R、5Rと言うように、階級を、区分していた。RRRは、3Rとも呼ばれていた。

Rグループの戦場は、世界の至るところにあった。

 武器も、兵器も、航空機も、戦艦も、その筋に依頼すれば、直ぐに整ったのであった。

 武器を売る会社は、武器を表看板にはしていない。

 レミントンといえば、堅牢なライプライターの会社である。

しかし、レミントンの造る機関銃は、実に優秀なものであったし、デュポンといえば、ナイロンの靴下から造っているが、、喫煙具のライターの会社として知られている。

けれども、原子爆弾まで、造っているのである。

 R1号は、そうした会社に顔が利いていた。

電話一本で、武器、兵器を調達出来た。

 勿論、兵員の確保もしてあった。

 自前の正規軍で、戦争が賄える、国は、アメリカでさえもなかった。

 ペンタゴンの、然るべき上層部でも、R1号の名を聞いたら、直ぐに、その要求を飲んだ。

「沖縄の基地を撤退して欲しい」

 という要望は、直ぐに聞き入れられた。

Rグループを、敵に廻したくないからである。

「琉球共和国は、Rグループが、護衛する。本拠地である」

 と通達した。そして、三個の空母艦隊が姿を見せた。

「中国は、必ず押さえる」

 と言って、北海道、モンゴル、フィリピン、ミャンマーに、Rグループの基地を、迅速に造ったのである。

 英米に、基地の存在を、極秘で通達した。

英米でも、一部の者しか知らない。

 アフガンでも、警備会社は、活躍していた。Rグループだけではない。

 しかし、現アフガンの大統領は、「警備会社を引き上げて欲しい」

 と公に発言した。

「そのような存在はいない」

 と米国は、返答をしていた。

 それ以上の、発言をすると、大統領が、交代することになるかもしれなかった。

 以降その問題には触れていない。

タブーなのである。

 Rグループは、そういう存在であった。

 資金はあらゆるところから、集まってくる。

証券市場にも、為替市場にも、根を張っていたし、先物市場でも、大金を、動かしていた。

 某国の大統領選挙の資金も、秘密で、用立ていた。

その秘密を掴んだものは、密かに消されていた。

 R1号が誰なのかは、どこの国の、誰もが知らなかった。

秀球でないのは、確かであると、誰もが思った。

 北海道の、宗谷海峡から、エトロフ(択捉)島とウルップ島の間を、三個空母艦隊が、悠然と航行した。

 国旗のところには、白地に赤の文字で、「R」の旗を、翻していた。

 ロシアの艦船は、一隻も出てこなかった。

もし、出てきたら、ものも言わずに轟沈されたであろう。挑発したのである。

しかし、一隻も港を出なかった。

 Rが、エージェントであるのは、ロシアも知っていた。

 Rグループは、実戦の戦争もするが、経済戦争もする。

チタンなどを買い占めた。レアアース(レアメタル)の鉱区を、買い占めた。

中国だけにしかないわけではなかった。

 実際に掘削するのには、一千億もあれば、済むのであった。

掘削する気なら出来た。

 しかし、南米のボリビアで、掘削している分で充分であった。

埋蔵量は、中国よりもあった。

 中国が手を伸ばして来たことがあった。

その人間は黙って消された。

何所に埋められたのかも判らなかった。

 武器、兵器の仲介もやっていた。どこにでも売る。

 琉球共和国は、尖閣諸島の近くに、英国の会社に依頼して、海底油田と、天然ガスの海底井戸を掘りはじめた。

 英国の会社が、掘っていることで、中国も台湾も何もいわなかった。

その上に、空母艦隊が、護衛していた。

 石油や、天然ガスが出たら、石垣島にパイプラインで引くことになっていた。

これを、琉球はもとより、日本にも、販売することになっていた。

タンカーが、横付け出来る、巨大な桟橋も完成していた。

この石油と天然ガスの利益だけで、琉球国の一三一万八千人分の税金は、出てしまうのである。

年金や、医療費も出たし、住宅建設も出来た。

しかし、石油が出るかどうかは、賭けであった。

 独立したことで、琉球国は実に豊かになった。

就職率も百%であった。

 港湾と、空港の要員、農業法人の要員と幾らでも、勤め先が出来た。

しかも、無税であった。

国の経営の仕方が日本とまるで、異なっていた。

日本から、多くの企業が移ってきた。

ハイテク産業も、レアアースが豊富にあることで、安心して移って来た。

電気自動車以外は、島内を走ることを禁じた。

 森の木々を伐採することを禁じて、植林を励行した。

 ビルと言うビルの屋上や、一般住宅の屋根には、ソーラを取り付けた。

 フィリピンのパラワン島に、原子力発電所を三基造って、海底電線で、琉球国に引き込んだ。フィリピンや、パラオ諸島、ベトナム、台湾などにも、電力を売った。

マレーシア、インドネシアの一部にも、電力を売った。

 原子力の再利用の処理は、フランスに依頼した。

 こうして、イギリス、フランス、アメリカを抱き込んでいくことで、琉球共和国の独立は、世界の列強に支持されて、国連にも加盟した。

 もう、日本に手が出せる国では、なくなっていた。

日本は、兄弟国と言う形を取っていった。

 モンゴル、フィリピン、北海道、ミャンマーから、食料が入りはじめた。Rグループが、それらの国に、大規模農園を経営していたのである。

 琉球も再整備されて、都市部と、田園部と、自然林とが、画然とされて、美しい海と、河川や湖に囲まれた、国に生まれ変った。

 多くの人々が、観光に訪れた。日本時代よりも三百%、観光客が訪れるようになった。

 ビーチの近くに、美しい、自然とマッチした、ホテル群が建った。

ハワイをモデルにして、食事は、好きなホテルで、摂れるようにした。

宿泊客はすべて、スパコンに登録されて、定期的に、ダイレクトメールや、インタ

ーネットで、琉球の自然や、文化を紹介していったので、リピーターが、増えていった。

 アウトレットの、大きなショッピングモールも造ったので、ファッション、家電製品、精密機械、郷土工芸品、ヨット、プレジャーボートなどが、面白いように売れていった。

 食べ物も、和洋中華韓国、エスニック、琉球料理が、食べられたので観光客は喜んだ。

 海の幸が豊富に食べられた。珊瑚礁は、国の観光課で、専門家に依頼して、育てていった。

森も、珊瑚礁も丁寧に育てなくては、健康にならなかった。

すべての下水は、汚水処理場で、三次処理までして、完全に綺麗にしてから、海に戻した。

ゴミの処理も、国で回収して、処分した。

 独立前と、独立後の感想を、国民にアンケート調査をした。

ほぼ百%が、独立後の生活に満足していた。

 現在の大統領、内閣に不満はあるかを聞くと、

「最高の、政府である。この国を守るためには、兵隊にも、何にでもなる」

 と言う答えが返ってきた。

それを、ほぼ、リアルタイムで、インターネットの、政府のホームページで流した。

 琉球国は、北マリアナ連邦、グァム、台湾、フィリピンと姉妹都市の条約を結んだ。

シンガポールと、ベトナムのフエが、

「姉妹都市になりたい」

 といってきた。

初代大統領の、秀建が、引退を、表明した。

 それに伴って、国民投票が行われて、中城秀球が、圧倒的多数で、第二代の大統領に、選出された。

 秀球は、初めての、大頭領の仕事で、治安維持を行って、警察官の増員と、消防士、医師、看護士、介護士を、増員した。

国民の安全と安心を、目指したのであった。

これは、多くの国民に支持された。

 しかし、小さな政府の方針は変更しなかった。

相変わらず、無税の国であった。

 そのための財源は、石油、天然ガス、電力、観光、貿易、港湾、空港の使用料で、充分に賄えたのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る