考えてはいけないことなどない

ある日のことだ。


細かいシチュエーションは忘れてしまったが、執筆しようとパソコンのまえに座ったとき、雑念が湧いてきた。


雑念の内容はもう忘れてしまったが、とにかく、姫呂はその雑念を振り払おうとした。「こんなことを考えてはいけない」、「目の前のことに集中しなければ」と。


しかし、雑念は振り払えなかった。それがもとでストレスが溜まってきた。


そのとき、ふと考えた。これはまちがっているのでは? なぜ、ストレスを溜めてまで、雑念を振り払う必要があるのか?


あることをしようとしていて、別の何かが頭に浮かんでくる。それは、「別の何か」が、目の前のことよりも重要であるという証拠ではないだろうか。客観的にはどうであれ、自分自身にとっては重要だと脳が感じたからこそ、その何かが浮かんできたのだ。重要だと感じていることを、無理に振り払おうとすれば、ストレスが溜まるのは当然ではないか。


人間の思考は、機械のように簡単に切り替えることができない。カオスの世界だ。だが、カオスだからこそ、自由があるとも言える。


人間の思考は自由だ。その自由を自ら奪ってどうする?


頭に別の考えが浮かんできたら、その考えに意識を向ければいい。


「雑念」というものは、本来存在しないのかもしれない。人間に考えてはいけないことなどないのだから。

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