高級キーボードを買う意味

タイプライター風のキーボードを買った。「PENNA」という機種だ。


以前、クラウドファウンディングで販売したことがあり、今年の9月から一般でも購入できるようになった。


ちょうどその頃、姫呂は無性にタイプライターを触ってみたかった。今のキーボードとはまったく異なるかちゃかちゃした感じに興味を抱いていた。


PENNAはAmazonで購入した。


接続がブルートゥースのみなのが少々不安だったが、正常に動作しなくても、最悪、インテリアになればいい。そんな気持ちで買った。実際には問題なく動作したので杞憂だったが……。


見た目は、本当にタイプライターに似ている。


もちろん本物ではないので、キーは違う。PENNAのキーはメカニカルスイッチだ。


本物のタイプライターと比べることはできないが、とにかく打鍵感が気持ちいい。キーを押すと、しっかりした反動が返ってくる。


キーは丸型で、微妙に打ちにくいのだが、それがまたタイプライター感を演出している。


タイプライターは、一度打ちまがえると修正が困難だった。そこで、あえて打ちにくいデザインにすることで、ユーザーが1打1打をしっかり確認するようにしたのである。そうした特徴を本機も受け継いでいるようだ。


とはいえ、もちろん使いこなせばブラインドタッチはできるし、超スピードで打鍵することも可能だ。このさじ加減が素晴らしい。


PENNAの大きな特徴として、「マクロバー」と呼ばれるものが機体の左側に装備されている。あらかじめ連続したキー入力を覚えさせておけば、次回からはバーを押すだけで、前回の入力が再現されるというものだ。


姫呂の場合、基本は「CTRL + スペース」を記憶させておいて、ローマ字入力と英数字入力を一発で切り替えられるようにしてある(PENNA英語配列キーボード)。場面によっては、違うキーを覚えさせて使う。


このマクロバーのおかげで、実用性もなかなかのものになっている。


しかし、やはり購入してみて一番良かった点は、打鍵が気持ちいいことだ。キーボードは打鍵感が最も重要だと身にしみる。


今の時代、ノートPCが全盛のため、キーボードを購入する意味はないと感じる人も多いだろう。


しかし、高級キーボードを購入してみると、新世界が見えてくる。そこで初めて、道具にこだわることの価値がわかってくる。


この価値を知ることこそ、高級キーボードを買う意味なのだ。

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