第4話

 それから、また何年かの間、村は貧しいながらも平和でした。ところが、ある年のこと、村に恐ろしい知らせがもたらされました。

 戦です。それもこれまでにないほどの大きな戦で、戦火は今までは相手にされなかったような山奥の貧しい村にまで及んでいるというのです。

「侍どもは、村々の食べ物を根こそぎ持って行ってしまい、逆らったものたちは皆殺しにされたそうだ」

「そんなことをされたら、わしらは冬を越せずに飢え死にしてしまう。」

「だが、断っても皆殺しだ。」

「どうしよう。いっそのこと食べ物を隠して、山の中へ逃げたらどうじゃろう。」

「逃げると言っても、女子どもを連れて山の中を幾月もの間逃げ続けることなどできるものか。いずれ捕まって、食べ物のありかをを白状させられたあげくに、皆殺しにされるのが落ちじゃ。」

 村を重苦しい空気が覆っていきました。

そんなある夜のことです。村人たちが、みんな同じ夢を見ました。夢の中に守り本尊が現れました。

「私はこの村の守り神じゃ。今、村は大きな災いに襲われようとしている。このままでは、何日もしないうちに、この村は戦に飲み込まれてしまうだろう。

 私はそなたたちを助けたい。私の言うとおりにすれば、この災いから村を守ることができるであろう。明日日が暮れたら、そなたたち全員で祠の前に集まるのだ。」

守り本尊はそう言うと、すっと消えてしまいました。

 あまりに不思議な夢だったので、村人たちは相談の末、わらにもすがる思いで祠の前に集まることにしました。

その夜、暗闇の中を村人たちが祠の前に集まると、祠の扉が静かに開き、中から光があふれてきました。そして守り本尊の声が、みんなの心の中に響いてきたのです。

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