第21話 ある村人のこと

塩の目。


私の一族はそれを持つといわれている。


そのありようがどんなものなのか、それが人々に害するものなのか。


私たちは知らされていない。


しかし、それが原因となり一つの国が滅びたと伝承に残っている。


そしてその塩の目の血が、私たちには濃く流れているのだという。


すべて、村長から聞いたことだ。


歳が十の頃だったか、私たちの一族のうち幼いものが、村長の家に集まるように言われた。


そこで、塩の目がわれわれの一族に染み付いた罪業なのだと村長は説いた。


詳しい内容は忘れてしまった。


興味も無かったからだ。


納得も、もちろんしなかった。


私たちは、村の外れに、それぞれ家を構えている。


聞けば、この村を悪しきものから守る結界を、塩の目の一族は有しているのだという。


疑問しかなかったが、口を挟むことは差し控えられた。


われわれの一族はこの村に縛られている。


中央の広場に鐘鳴らしとして、一族のうち、もっとも弱いものを人質に取られているのだ。

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