120 遺書

 ぼくは死ぬために遺書を書いている。


『       いしょ


 ぼくは友だちにいじめられていました。


 クラスのゆうくんとつばさくんにです。


 歯が取れたのは二人に殴られたからです。


 パンツを脱がされたこともあります。


 パンツはそのまま燃やされました。


 二回、くわの先生に相談しました。


 これ位で問題にするなと怒られました。


 ろくでもない先生でした。


 さいていの先生でした。


 レベルゼロのクソきょうしです。


 ただ、パパだけは違いました。


 パパはいつでもぼくの味方でした。


 パパはどんな時もかばってくれました。


 がんばって生きようとも思いました。


 ハパが大好きです。


 ん



 ん、ん……ん――ぼくの鉛筆が止まる。


「おい、なんだこの遺書は?」パパがぼくの右手を掴む。

「何って……遺書だよ……」

「くだらねぇことするんじゃねえ!」パパの右手が上がるが、痣になるのを気にしてか、殴られることはなかった。



 ぼくの書いた遺書はパパに破り捨てられ、新たな便箋を渡された。


 ぼくにはもうアイディアが、なかった。

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