106 お盆の時期

 お盆の時期は肝試しに限る。


 今日も友達と三人、とある墓地で談笑をしていた。


「今日もいるかねぇ」


「いるに決まってるだろ?」


「お盆だからねぇ。あっ、ほらほら」友達が指を指す。その先には男女のカップルがいた。


「おっ、まじだ」


 俺ら三人は息を潜める。


「……驚く顔が早く見たいなあ。僕の生きがいだよ」


 小さく、独りごちた友達に俺がたまらず言った。


「生きがいとかって、お前馬鹿だろ」


 もう一人の友達が笑いをこらえながら声をかけてくる。


「お前なぁ。驚く顔なんて一円にもなんねえだろ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る