105 本格派の私

 私は何をするにも本格派。料理だって最高級の食材を集めるし、調理器具にも力を入れる。家具を揃えるのだってテーマを決めてそれに見合ったもので部屋を飾っていく。本物しか手にしない私は常に全力本格派。


 そんな私は友達とパーティに参加する事になった。皆、普段着る事のない手の込んだ衣装を纏ってくるようだが私のは更に一味違う。既製品はなかったので手作りし、構想から練りに練ってほぼ半年を要した代物だ。私だったら最高なんだけどそうはいかない。


 パーティ会場は家の直ぐ傍だった。夜が深まるにつれ街が活気を帯びてくる。私は人ごみの波に乗る。たまらず声を張り上げた。


「ハッピーハロウィーン!」


 道行く人が私を見つめる。血だらけの被り物は好評のようだ。

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