051 学習

「昨日彼女と喧嘩しちまってなぁ。思わず頬をなぐっちまったんだ」

「お前酷いやつだな。んで、どうなった?」

「頬を殴ると歯が抜けるんだな。彼女口から血を流してたよ」

「そりゃあそうだ。それで喧嘩は収まったのか?」

「売り文句に買い文句。喧嘩は続いて、俺は今度正面から顔を殴ったんだ」

「また手をあげたのか。酷い男だよ、お前は」

「そしたら今度は鼻が曲がって鼻血が止まらなくなったよ。あんなに簡単に鼻って曲がるんだな。初めて知ったわ」

「流石に喧嘩は一旦ストップか」

「いいや、ますますヒートアップ。それで俺は遂に包丁を持ってきて彼女の腹を刺しちまったんだ」

「まじか!」

「で俺は焦って彼女に『ダイジョブか?』って聞いてみたんだ。でもなぁ、返事はなかったんだよ」

「今日彼女を見てないと思ったら……知らなかったよ」

「俺も知らなかったよ。女って腹を刺すと耳が聞こえなくなるんだな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る