052 強盗殺人
友達の家に十時頃遊びに行くと約束していたのに電車のトラブルで到着が一時間遅れてしまった。
友達のアパートに着くと人だかりが出来ていて救急車やパトカーまで停まっていた。
集まっている人に話を聞いてみたら、友達が誰かに刺されたとの事だった。大学で一番仲の良かった彼女が刺された――そこからどうやって家まで帰ったのかは覚えていない。気付くと自分の部屋にいた。友達に送った『遅れる!』のメッセージはずっと未読のままだった。
私は友達の無事を祈っていたのだが、夜のニュースで彼女が亡くなった事が分かった。心配してアパートに来てくれていた彼氏に抱き付き、思いっきり泣いた。共通の友達だった事もあり、彼氏も一緒に大泣きした。
数日後、犯人が捕まったニュースが流れた。強盗目的で押し入ったそうだ。犯人の供述だと『金目の物を盗もうと侵入したらいきなり包丁を持った女が襲ってきたので咄嗟に奪い返して殺した。殺人に関しては正当防衛』だそうだ。犯行時刻は十時だった。私の友達はお金なんかの為に殺されてしまったのか――それに私が時間に遅れなければ友達が殺される事もなかったのかもしれない――そのニュースを見ながら私はまた泣き出してしまった。
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