026 燻す

「なあ聞いてくれよ。俺の部屋、幽霊が出るんだよ」

「はっ? ほんとに?」

「うん、直接見たわけじゃないんだけどこの頃変なことが多くて」

「例えば?」

「リモコンの位置が変わってたり、カーテンが微妙に開いてたりするんだよね」

「なんだ、かわいらしい幽霊じゃないか。驚かせたりしてこないんだろ?」

「驚いたことはないけど、ティッシュとか歯磨き粉の減りも早くてまじ嫌になるわ」

「それは地味に嫌だわ」

「だろ? それと家にいると視線を感じる事が多くて気味が悪いんだよ」

「それは確かに気味が悪いな……」

「んでさ、効くかなぁって思ってバルサン焚いてみたわけよ」

「はっ!? 効くわけねえだろ!」

「それが効いた効いた。次の日から心霊現象がぱったりと無くなったのよ」

「まじかー。俺も出たら使ってみるわ」

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