恋愛協奏曲

プロローグ

 気がつくとそこは真っ白でベット以外何もない大きな部屋。

俺は此処が何処なのか知っている。病室だ。

◯んぜが眠る病室。

毎日のように通ったその病室を忘れることなんか出来るわけがない。


(どうして俺は此処に………ッッ!)


何故◯んぜの病室に居るのか思い出そうとしたところで、俺は信じられない光景を見た。


『嘘……だろ?』


◯んぜが起きている。二度と医者から目を覚ますことはないだろうと言われた◯んぜが。


(何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で)


疑問符ばかりが頭の中支配するが体は自然と前に進んでいた。

そして気が付けば俺は◯んぜの前に立っており彼女の姿を改めて見る。

くりくりとした大きな瞳、柔らかそうな桜色の唇、芸術品と見紛うほどの整った顔立ち。一見小学生と見間違うほどの小柄な体躯をしているが、彼女が着ている病衣を押し上げる二つの大きな膨らみが彼女が小学生なんかではないことを主張している。

日本人なはずなのに黒髪ではなく小麦色のショートボブは彼女のトレンドマークだ。


『◯んぜ起きたのか?』


『私のためなんかに○○○○ないでいいの』


『えっ?』


俺の声など全く聞こえていないのか、◯んぜは下を向きながら独り言のように呟いた。


『君は私を○○○べきなんだ。なのに何で君ってやつは』


そう言って◯んぜは嬉しそうでそれでいて悲しそうな顔を浮かべながらベットに倒れ込んでいる黒髪の青年の頭を撫でる。


その倒れ込んでいる青年が、前世の俺であると理解しかけた時、突然世界は暗闇に包まれ、



『…バイバイ』



最後に◯んぜの別れの声が聞こえ俺の意識は完全に無くなった。





 






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