第103話 隠されたものを探せ

 ここに来て考えてみるとどんなものか全く想像ができなくなった。

 例えばタイムカプセルのような物だったら。そうなるとこの辺り一帯を掘り返さないといけない。それは到底無理だ。


「それは確かに言われてみたら分かりませんね」

「普通に物だと思ってたからな」


 3人で頭を悩ませる。


「でもよ。技術を残すってんなら物だと思うけどな。だとしたらそれをこの庭に吹き曝しにはしないだろう」


 確かにその通りだ。それこそ盗まれてしまうし、雨風で痛んでしまい。


「つまり、吹き曝しにならない場所。地面の中」


 ユリの言う通りだと私も思った。後はその場所だ。


「2人に聞くけど、地面の中に埋めて100年以上持つ物って思いつきますか?」


 私の言葉に考え込むように2人はうねり声を出した。


「ないですね」

「ないな。寒い場所で骨が見つかるとかあるだろうけど、中に何かを入れてそのままってのはないんじゃないか」


 つまりこの世界にステンレスのようなものはないと言うことだ。


「そうなると。隠し部屋があるかもしれませんね」

「あぁ、その可能性はあるな」

「でも部屋があったとしても100年以上手入れがされてなければダメになってしまうのでは?」


 荒れることは荒れるだろう。規模にもよるが一部が崩れてしまうこともあるかもしれない。


「誰かが手入れをしていた。つまり存在を知る人が居たとか…?」

「でもよ、あるかわからない部屋の話してもしゃーないだろ。まずはこの辺り探してみよう。部屋かもしれないし、それこそ石の置物かも知れない。気をつけて探してみた方がいいんじゃないかね」


 バレルさんの言う通りだ。その一言で私達は固まって周辺を歩いて見ることになった。

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