悪役令嬢になりましたので、自分好みの近衛騎士団を作ることにしました

第22話 アリスとの散策 前編

「それでは明日の夕方6時にここ東門にお願いしますねアレン」

「はいよ」

　アレンは威勢のいい返事をしてきた道を帰っていく。

　私はホリナと二人で街の東門に降りた。東門の内側で私はアリスと待ち合わせをしている。馬車が予定時間よりも早く着いたこともあって若干の時間の猶予がある

「それではお嬢様お気をつけて。近くで待機するようには致しますが、何かあればすぐにお呼びください」

　そういってホリナは街の人の中に消えて行った。いつものメイド服ではなく、質素なカーキ色と白のシャツは見事に人ごみに溶けて行った。見慣れている私でもじっくり探さないと分からないくらいには自然と溶け込んでいる様子を見てホリナの凄さを改めて思い知った。

　個人的には「綺麗なホリナがナンパとかされないかと心配なんだけど、それは軽くあしらうんだろうな」と自分の中で納得してしまった。彼女がホイホイと知らない男についていく姿が想像できない。

　でもあのホリナが「どうせ遊びに行かれるなら市場を広く見て回りたいです」なんていうとは思わなかった。いつもは時間にあまり余裕がなく、ゆっくり市場を見て回れないから一泊してまで見たいというホリナの希望には本当に驚いた。もちろん私には断る理由なんてなかったし、ホリナと一緒に街を回るのも楽しいだろうし、私自身この世界の勉強にもなるとも思った。

「フランソワ様、お待たせしてしまいましたか」

　待ち合わせ時間よりも早くアリスが現れた。いつものピンクの服ではなく、今日は白のブラウスに黒のスカート。シンプルなのに着ているのがアリスだから華やかに見える。さらに頭には帽子まで被ってる。控えめに言って最高に可愛い。

「さっき着いたところよ。本当よ」

　気を使ったように思われたくなくて念押しして見たけど、逆に気を遣わせてしまう発言な気がすると思った頃には遅かった。

　私のそんな後悔を察してか「それはよかったです」と優しく微笑んでくれるアリスはまるで天使みたいで神々しい。

「それじゃあ行きましょう。時間は有限なんだから早く楽しめるだけ楽しみましょう」

「はい！」