第20話 ホリナの想い 前編

「と言うわけで、私初日は友達と遊ぶに行くから街まで馬車をだして頂戴」

「だめです。何を言っているんですかお嬢様」

「えっ何で!?」


 ホリナが溜息をついて私の疑問に答えた。


「お嬢様の身分を考えてください。そんな気軽に遊びに行けるわけがないでしょう。せめて護衛を雇うなりしないと」

「そんなんじゃ遊びに行った気がしないじゃない! 友達だって気を使うわ」

「それは譲れません。それか私がついていきます。それなら認めます」

「ホリナ、あなたとアレンの事なんだけどね。後で言うつもりだったけど、関連するだろうから今いう事にするわ。」

「どうしたんですか急に」

「あなた働き過ぎじゃない? いつもお世話をしてくれるのは嬉しいわ。だけどそれであなたが倒れてしまうんじゃないかと思って心配なのよ」


 ホリナの変わらない表情を見ながら私は言葉を続ける。


「だから、ホリナとアレンも休みを取って貰えたらと思ってたの。自由に自分の趣味とかやりたいこととか実家に帰るとかもしてほしいの。私は1人でも大丈夫だし」


 ホリナは私の言葉を聞いて口を開かなくなった。

 いつものホリナは厳しいけど明るくて心配焼きだ。だからこそ彼女は暖かい雰囲気をいつも醸し出している。でもそれが今は感じられない。感じるのは重く息苦しい雰囲気がその場に漂った。

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