第19話 予定がないのは私だけ?

 初めての騎士学校との交流会から早くも2週間が経とうとしていた。

そして、本来ならば近いうちに今期2回目の交流会があるのだが、それを前に学院の中は別の話題が生徒たちの中で話されていた。それは明々後日から始まる2週間の長期休みの話だ。

 学院、学校側には寮に入る学生も多いらしく、実家に帰ることを目的として作られたこの休み期間は当然生徒たちの中で話題の中心となっていた。


「知らなかったのですか?」


 その話を聞いて驚いた私にアリスは不思議そうな顔した。アンとユリィも同じように不思議そうな顔をしている。生徒なら知っていて当然の事らしい。

 「ゲームの中でそんな設定なかったし! あったとしても説明すらなかった!」と内心憤っている私を表に出さないようにしいつものフランソワらしく対応していた。


「そしたら交流会は休みの前にしてしまうの?」

「いえ、交流会は1回お休みですよ、次は6の月の末になりますね」

「そうなのね。すっかり忘れていたわ」


 「フランソワ様は大変だったですからね」とアンが言葉をかけてくれた。それはアリスとシャバーニの事も含めて言っているのだろう。今こうしてアリスとお昼を一緒に食べてはいるが、その話を聞いたアンとユリィは内心ではアリスの事をよく思っていないのかもしれない。

 その言葉にアリスは相槌を打ってはいるが居心地はよくなさそう。


「そしたら、皆はお休みの間どうするの?」


 空気を換えるために話題を次に切り替える。こうすれば少しはマシな空気になると思う。


「よかったら皆でどこかに遊びに行かない? 皆と遊びに行った事ないしどうかしら?」


 その提案に3人が顔を見合わせて首を横に振った。


「すみません私は家族と旅行の予定がありまして……」

「私もアンと同じで、親戚筋の家を回る予定が……」

「私は寮生活なので実家の方に帰ると伝えてしまっていまして」


 それぞれが自分たちの予定を申し訳なさそうに口にした。


「ごめんごめん。そうよね皆予定あるわよね! 急に誘う私の方が悪いのよ」


 空気を換えるために話題を変えたのに、結局空気が悪い方向に向かってしまった。悪いのは私なんだけどさ……。


「でも私は初日の半日程度ならお時間作ることができますよ!」


 そう言ってくれたのはアリスだった。


「本当? でもアリス無理はしなくていいのよ。気を遣わせてしまったのならごめんなさい」

「本当ですよ。少し街で買い物をしてから馬車に乗る予定だったので初日に街を回るくらいしかできませんが、いかがでしょう」

「それなら一緒に街を見て回りましょう! 少しお茶でもしてからアリスを見送らせて頂戴」

「喜んで! フランソワ様と街を見て回るの楽しみにしておきます!」

「私はご一緒できませんが代わりにお土産を買ってきますのでご期待くださいね」

「私もユリィと同じように、お土産を皆さんに買ってきますので楽しみにしておいてください」

「2人ともありがとう。楽しみにしておくわね」


 こうして無事に初日の半日だけではあるが、私の休みに予定が埋まった。残りの休みの間は帰ってから考えよう。

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