ニキビ

藤村 「この間デカい地震あったじゃん? ネット見てたらさ、なんかすごい地震雲がでてたらしいんだよ」


吉川 「あー、あのな? 地震雲ってないんだよ?」


藤村 「え」


吉川 「そんなのないんだって。少なくとも雲が地震に関連するなにかに変ずることはないらしい」


藤村 「そうなの? 俺が子供の頃から言われてるけど?」


吉川 「やっぱり地震とか不安だからさ、なにか前兆とか原因とか求めたくなるんだよ。言ってみればナマズが暴れるのと同レベルの話だから」


藤村 「そうだったのか。言われてみれば、なんで雲? っていう気はせんでもなかった」


吉川 「日本は地震に関してはマジで最高の頭脳が日夜戦ってるから、そんな予言みたいなものが入り込む余地はないんだよ」


藤村 「でも俺、地震ニキビができたよ?」


吉川 「なにそれ。地震のストレスで?」


藤村 「いや、ここにニキビができると必ず地震が起きるの。これはマジ」


吉川 「なんでだよ。お前は地震の何も司ってないだろ」


藤村 「信じる信じないは別にいいよ。でもマジだから」


吉川 「個人のニキビに関しては絶対に相関関係はないだろ」


藤村 「じゃあ、思われニキビはどうなるんだよ!?」


吉川 「思われニキビ。お前思春期なの?」


藤村 「思い思われ振り振られ、だろ。こう顔にできる場所で」


吉川 「それも思い込みだろ」


藤村 「え、思い込みニキビはどれ?」


吉川 「違う違う。ニキビの種類言ってないよ。ニキビの発生は全部思い込みだよ。何の根拠もない」


藤村 「今日カレーニキビは?」


吉川 「一回も聞いたことない。なに、その概念」


藤村 「ここにニキビができると今日はカレー」


吉川 「それはお前が勝手に食べろよ。お前の意志の方がニキビに支配されてるじゃないか」


藤村 「違うんだって! 子供の頃からここにニキビができて家に帰るとちょうどカレーだったの。それ以来、まじでここにニキビできた晩御飯はカレーだから」


吉川 「たとえ子供の頃はそうであっても、大人になってからはお前次第だろ!」


藤村 「ここにニキビできたらカレー食べたくなるんだよね」


吉川 「カレーはだいたい思い浮かんだら食べたくなっちゃうものなんだよ!」


藤村 「アクアパッツァニキビはまだできたことない」


吉川 「アクアパッツァをピンポイントで食べたいなって時はないんだよ! 美味しいけども。あったら頼むけど、無の状態から欲求が発生するお馴染みさじゃないから」


藤村 「あと乳首かなニキビができることもある」


吉川 「何の話!? お前のニキビに対する歪んだ執着を開陳するコーナーになってない?」


藤村 「これ乳首かな? いや、でも乳首なわけは。え、けど乳首っぽい。乳首って言われればそういう気がしないでもないし。あれ、乳首かな? ってなるニキビ」


吉川 「ないよ! 人生で一度もないよ、そんな体験。乳首以外の場所にできた乳首っぽいものを乳首かなって思ったことはないから」


藤村 「虫刺されかな乳首もある」


吉川 「もうニキビの話ですらなくなった。お前の乳首に対するあやふやな認識をまず正せよ! 人間はそんな何個も乳首がないし急に増えたりすることはないよ!」


藤村 「ホクロかな乳首もあるにはある」


吉川 「あるにはあるってなんだよ。ちょっと譲歩する構えを見せるなよ。ないんだから! 乳首がいくら黒ずんでもホクロかなってならないよ!」


藤村 「あと性感帯乳首もある」


吉川 「それは発達次第だろ! お前の丹念に育てたその愛情が飾りに過ぎなかった乳首に感度を与えるんだよ! 男でもいけるらしいから皆さん彼を見習って頑張ってください」


藤村 「ネバー・ギブアップ!」


吉川 「なんだ、この話?」



暗転

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