対立

藤村 「確かに私はカップ麺の値段を誤りました。でもそれが政治家にとって重要なことでしょうか?」


吉川 「そういった庶民感覚からかけ離れた人が国政を携わることに対して批判が上がってるんですよ」


藤村 「一部で批判が上がってることは知っております。しかし私がカップ麺を食べないからと言って批判されるようなことですか? 正直さほど健康に良いとも言えず、個人の好みの問題ではないでしょうか。カップ麺の中でもアニメとコラボしたものでしたらわかります」


吉川 「コラボ。急に庶民感覚出してきたな」


藤村 「むしろコラボしてもいないのに買う層が私には理解できません。何もついてこないのに。損ですよ、そんなの。買い損」


吉川 「別に損じゃないとは思いますけど。レギュラーの商品あってこそのコラボでしょ」


藤村 「私は国政に携わるものとして、コラボ商品は買い支える義務がある。しかし、別に不味い商品を買う義務などありません。コラボしない商品など企業努力が足りないとしか思えない。そんな甘えた経営をしている企業は潰れて当然です」


吉川 「すげぇ極端なこと言うな。それもこの国の経済を支えてる一部なのに」


藤村 「私がこの国の文化を愛し、そしてもり立てていこうという気持ちに嘘はありません。コラボ希望の方たちは皆そう思ってるはずです」


吉川 「一部の熱量の高そうな層を味方につけて凌いでるな。他にもそうめんと冷や麦との違いがわかってないと指摘もありました」


藤村 「私がそうめんと、ナマコを掴んだ時にビュッとでてくる白い内臓みたいなものの違いがわからないとなったら問題ですよ。しかしそうめんと冷や麦、間違っても仕方ないことでありませんか? あなたはわかるんですか?」


吉川 「確か麺の太さじゃないですかね」


藤村 「それが国政と何の問題があるのでしょうか? そうめんと冷や麦を間違えたことによって戦争が起きますか?」


吉川 「戦争は怒らないかも知れませんが、その仕事に従事していてプライドを持ってる方にとっては傷つくのではないでしょうか」


藤村 「もしプライドがあるなら冷や麦なんて作りますかね?」


吉川 「いや、それは暴論ですよ」


藤村 「冷や麦なんて何となくツルツルっと食べ終わっちゃって、あんまり味とか記憶に残らないじゃないですか。冷たいものが通っていったなくらいのものでしょ」


吉川 「その言い方は冷や麦関係者に怒られますよ」


藤村 「その点そうめんはめちゃくちゃ美味しいです。そうめんを作っててる人は恐らく性格もよく頭もいい。国の宝です。冷や麦関係者にも見習ってほしいものです」


吉川 「ナチュラルに対立を煽ってる。自分に対して批判が来ないようにお互いに憎ませるつもりだ」


藤村 「ノット・冷や麦・イート・そうめんをスローガンに関係者たちには奮起してもらうことを望みます」


吉川 「怖いこと言う人だな。他にも労働者の低賃金の実態に対して認識が甘いのではないかと批判もされてますが?」


藤村 「その辺りに関しては我々としてもきちんと把握しており、様々な協議を重ねております。バカすぎて低賃金の仕事すらまともにできないカスどもでも余裕のある生活が送れる社会というのが理想とされるわけです」


吉川 「カスどもって言った!? これは大変な問題発言ですよ」


藤村 「発言を切り取らないでいただきたい。バカすぎて低賃金の仕事すらまともにできないカスどもです。そういったカスどもの尻拭いをさせられてる低賃金であっても真面目で勤勉な人たちのことを指してるのではありません」


吉川 「また対立を! 労働者の不満につけこんで火種を投げ入れてる!」


藤村 「こういった立派な労働者たちが低賃金で苦しんでるのは国の政策が間違ってるわけでも国際情勢の影響でもありません。すべてあなた達の身の回りにいるカス、そのカスたちのせいです! あと無能な経営者」


吉川 「完全に自分から責任を切り離したな」


藤村 「もちろんすべての経営者ではありません。ごく一部の無能な経営者、その無能な経営者のせいでこの国の経済をさせる立派な経営者たちも苦しんでいるんです!」


吉川 「次から次へと敵がでっち上がってくる。しかも言い間違えなどのシンプルな因縁をつけそうな人たちが喜びそうな対立を!」


藤村 「あと老人も! 福祉で金を食いつぶしてる老人もお忘れなく! あとタトゥー入ってるやつ! それと配信者! たいして面白くもないのに稼いでる配信者! あと、あと」


吉川 「こいつ、絶対政治家にしちゃダメだろ」



暗転

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