暑い夏

藤村 「そこで、暑い夏をやり過ごすためのライフハックのご紹介です」


吉川 「本当にこれから厳しくなりますからね。是非参考にさせてもらいたいです」


藤村 「まずは裸!」


吉川 「裸!? つまりどういうことですか?」


藤村 「これは裸で過ごすってことです」


吉川 「あ、本当にただの裸なんだ。いや、でも仕事をしたり学校に行ったりするじゃないですか」


藤村 「ですので、ある程度の恥ずかしさは覚悟の上で行ってください」


吉川 「なにか手立てがあるわけじゃないの!? 恥ずかしさを我慢して裸で過ごせってこと? 恥ずかしさ以外にも色々問題ない?」


藤村 「確かにそうかもしれませんが、暑くなるよりはマシかなって人向けです」


吉川 「法に触れると思うんですけど。暑くなるより捕まるほうがマシって人はいないでしょ」


藤村 「まぁ、夏の魔物に魅入られてしまったと誤魔化すしかないですね」


吉川 「なにちょっと詩的に言ってるの? 誤魔化せないでしょ、それで」


藤村 「そして次のライフハックですが、ビショビショです!」


吉川 「ビショビショ。嫌なライフハック!」


藤村 「これはビショビショになれば涼しく感じるという錯覚を利用してます」


吉川 「錯覚じゃないよ、それは。ビショビショになればそれは涼しいだろうよ。なりたくないけど涼しくしたいからみんな困ってるんだよ。ビショビショを貫けるなら、もうライフハックはいらないよ」


藤村 「注意しなければいけないのは、お湯でビショビショにならないこと。それだと熱いですから」


吉川 「いらない注意! 間違ってお湯でビショビショになっちゃったけどどうしてくれるんだってクレームつけてくるやついたら殺せそいつは。生きてても何の役に立たない」


藤村 「さて次のライフハックですが」


吉川 「裸とビショビショ来てる時点で、もう何も期待できないよ。どの面下げて発表してるの、それは?」


藤村 「北極です」


吉川 「北極? 北極がなに!?」


藤村 「北極に行くことです」


吉川 「行けたらいいだろ! 行けないからこその夏を乗り切るライフハックなんだよ。気軽に北極に行くことのできる人間がこんなチンケなライフハックを頼りにするか?」


藤村 「ただ気をつけなければならないのは間違って南極に行かないこと。南は暑いですから」


吉川 「南極も寒いよ! バカが過ぎるだろ! 南極は逆に暑いと思ってたわけ? そんな人間が発表するもの、何一つとして聞き入れちゃいけないだろ」


藤村 「ただ皆さん北極はなかなか行きづらい。乗り物酔いとか心配な人も多いでしょう」


吉川 「その理由で行けないわけじゃないんだよ。酔うから北極は止めておこうかって判断下すやつ、服が汚れるからって人を殺さないくらいの判断力しかないだろ」


藤村 「そういう方のために、どこにも行かずにすぐに涼しく感じられるライフハックがこちら」


吉川 「どうせバカのやつだろ。バカハックだろ」


藤村 「地球上の大気では100メートル高度が上がると約0.6℃温度が下がると言われます」


吉川 「急に賢い! バカとカシコの振り幅がデカすぎて心が置いてけぼりになる」


藤村 「1キロメートル上がれば約6.5℃。2キロメートル上がれば約13℃温度が下がると言われております。これを利用して、その場で2キロメートルくらいジャンプをすればいつでも涼しく快適にすごせるというわけです」


吉川 「賢さを維持したままバカで塗り替えることってできるんだ? どうやってやるんだよ。2キロジャンプできるエネルギーがあれば、もっと他に涼しくなる方法を模索できるだろ!」


藤村 「最後にオススメなのが巨大隕石です。地球に巨大な隕石を落とすことによって大気に塵などが舞い上がって急激に気温が下がるそうです」


吉川 「絶滅する! 絶滅のシナリオのやつ。誰が何の参考にするライフハックなの?」


藤村 「ただ急に気温が下がりますと風邪などをひきやすくなりますので、そこだけは注意してください」


吉川 「注意するのそこだけ!?」



暗転

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る