なぞなぞ

藤村 「実家帰った時、やることなかったから子供の頃のなぞなぞの本を読んでたんだけどさ」


吉川 「実家って意外と懐かしいものとかハマっちゃうんだよな」


藤村 「上は洪水、下は大火事、なぁ~んだ? とかいうなぞなぞがあって」


吉川 「お風呂だろ?」


藤村 「そう! え? なんでわかったの?」


吉川 「聞いたことあったから」


藤村 「いや、おかしくない? お風呂の洪水と火事? それはもうお風呂じゃなくて災害現場じゃない?」


吉川 「そうじゃなくて。下は火で沸かしてるからってことだろ」


藤村 「下? 普通、ガスの給湯器じゃない? 下に置いてるの?」


吉川 「昔なんだよ。昔のお風呂は薪で沸かしてたっていうし」


藤村 「それ知ってるの? 実際そうやって説明が書いてあったんだけど。そんなお風呂ないからさ。意味わがわからなくて」


吉川 「さすがに半世紀以上前の風呂だろうな。昭和の。田舎だったらギリあるかもしれないけど」


藤村 「ドラム缶風呂みたいのでしょ?」


吉川 「それとは違って、なんか薪で外から火をくべるようなのマンガで見たことあるし」


藤村 「結局なぞなぞってさ、時代によってアップデートされないと意味が通じなくなるんだよな」


吉川 「ま、そうだろうな。お風呂は確かに見たことないわ。そういうのは」


藤村 「だから考えたんだけどさ、現代の。令和バージョン」


吉川 「なぞなぞを?」


藤村 「そうそう。なぞなぞ。解いてくれる?」


吉川 「いいけど。この時代のやつなわけね?」


藤村 「いくよ? タイトスカートの中はムチムチの太ももなぁ~んだ?」


吉川 「わからない。なんか何を言ってるのかもよくわからない」


藤村 「わからないか。正解は酔うとエロくなるキャリア女上司でした」


吉川 「そうだと思った! そうだと思ったけど、そんなわけないと思って真っ先に除外したやつがそうだった。そんなのなぞなぞにするなよ!」


藤村 「ズルいなぁ。答え言った後にそういうの」


吉川 「違う違う。なぞなぞだろ? 謎がないじゃん。わからない中を考えて考えて、答えを聞いたら納得するというなぞなぞのシステムが瓦解してるじゃん」


藤村 「納得しない?」


吉川 「納得しないっていうか。そんなものをなぞなぞにしないだろっていうこっちの心を見透かした問題なの?」


藤村 「結構わかりやすい答えだと思ったんだけど。逆に酔うとエロくなるキャリア女上司以外の答えってある?」


吉川 「あるだろうけどさ。今は全然思いつかないけど何かはあるだろ!」


藤村 「じゃ、次の問題ね。下のお口はビショビショ……」


吉川 「待てよ! 頼むから待ってくれよ!」


藤村 「まだ問題の途中ですが。吉川さん、答えがわかりましたか?」


吉川 「そういうことじゃない。Rがきついのよ。完全にR18の問題なんだよ」


藤村 「そうですけど?」


吉川 「そうですけど、じゃないよ! あのな、なぞなぞってのはR11なんだよ。11歳で全員卒業していくんだから。それ以降の年齢でなぞなぞに本気で向き合うやつ、今のところ一人もいないんだよ!」


藤村 「え。じゃあ用意したやつ全部ダメじゃん」


吉川 「全部それなの? 全部が下のお口がとかのやつなの?」


藤村 「22問考えたんだけど」


吉川 「結構多い。全部そういうやつで!? 大丈夫めのやつはないの?」


藤村 「パンはパンでも、パンパンパン、オラオラオラ……」


吉川 「下ネタにしてもポップさがない! まだパンティとかなら可愛げがあるのに。ただ眉をひそめたくなる嫌らしさ」


藤村 「パンパンパン……」


吉川 「もういい。わかった! いつまでやってるんだよ! 全部そういうやつなんだな。大丈夫めでそれが出てくるってのはもう最深部は地獄のやつだな」


藤村 「だってしょうがないじゃん。令和版にアップデートしたら俺の年齢に適応した問題になるんだから」


吉川 「おじさんに片足ツッコんだやつがなぞなぞ考えようって事自体おかしいと思えよ」


藤村 「言うなればなぞなぞじゃなくてチョメチョメだな」


吉川 「どこが令和なんだよ!?」



暗転

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